ご無沙汰しております、すやです。
この度は本ブログ『集合知』が1周年を迎えることと相成りまして、いつも本当にありがとうございます!
各々が好きなタイミングで書きたいことを書いているブログですが、皆さまに愛していただき、思っていた以上に大きく成長したブログサイトとなりました。日々あたたかく見守ってくださる皆さまのおかげです。
・・・というわけで!感謝の気持ちを込めて「mi-casa FESTA」開催いたします!共通テーマを掲げ、そこから好きに広げて記事を書いてみよ~う!という初の試みです。どきどき…
共通テーマは、先日リリースされて爆発的ヒットを記録した、BTSのDynamite。でこ、のん、すやそれぞれ独自の視点で解説・考察記事をお送りします。
それではまず聴いてください。
防弾少年団(BTS)で、Dynamite。
…ハイ!!!!
聴きましたか!?再生していただけました!??
・・・今あなたは何を使って、Dynamiteを聴きましたか???
イヤホン?ヘッドホン?
それはAir Podですか?それともSONY?オーテクのヘッドホン?
もしくはスマホのスピーカーから流しました?
「えッなになに、怖い…」と引いた方も多いでしょう。
大事なんです。何を使ってその曲を聴いたかどうか。
わたしが今回声を大にして語りたいのは、「何を使って聴くか」って曲の色や印象を丸ごと変えちゃうくらい重要事項!!!ということです!!!!!
お気に入りのイヤホンが決まっている方、あんまりこだわりのない方、ぜひお付き合いください。びっくりさせてみせます!!!!(がんばるぞ)
※ちょこっとだけ学生時代に音響をかじっていた素人(そして限界ドルオタ)による完全私見記事です。本稿で触れている音に関しては個人の嗜好であり、解釈です。
※いろんなKPOP、K-HIPHOP、K-indieにも触れたかったけど収拾つかなくなったので主にBTSだけでお送りするよ!
- BTSのDynamite リリース当初の衝撃とその音作り
- BTSの"音"考察:タイトル曲と自作曲の音作りの違い
- おまけ解説①:オーディオ機器とKPOP
- おまけ解説②:環境のマジック 聴く環境による聴こえ方の違い
- おわりに:見えないものを見ようとして
BTSのDynamite リリース当初の衝撃とその音作り
待ちに待ったダイナマイトのリリース当日。
割と陰鬱もしくは攻撃的な楽曲を作りがちなBTSから迸る、あまりの多幸感に泣いたり死んだりしていましたが、一番びっくりしたのは実はその音作りでした。
ラジオプレイ用に音作りしてある…………泣https://t.co/hq4lEMeQH5
— スヤ (@hyuuunygyoyo) August 21, 2020
※Apple Musicのリンク死んでますがイヤホンで聞いた感想一言目です。
ダイナマイト〜〜😭😭😭‼️❗️🧨カーステレオで聴きたい、アメリカのバカ広い道路を爆走横断したい、爆音でこの曲を流しながら走りたい、四駆で大陸駆け抜けたい、カンカンの太陽と青空の下🌞
— スヤ (@hyuuunygyoyo) August 21, 2020
明らかに!!!!!ラジオやスピーカーで流すことを目的とした音像!!!!!
ちなみに:
「音作りってなんぞや?????」という方も多いかもしれません。
本記事で多用する「音作り」とは、簡単に言うと楽器や声の聞こえ方のバランスと、全体の雰囲気を決める音の加工の仕方のことです。
Dynamite、ニュートロとはいえあまりに音がレトロ
全編英語歌詞でニュートロジャンルの曲が出るぞ!ディスコファンクだぞ!というのは事前の数秒のTeaserで、有識者オタクによって騒がれていました。
うわ~~~~!!!!ついに!!防弾少年団がブラックミュージックを!!!ニュートロコンセプトを!!!!!!うわ~~~~!!!!!ありがとう世界!!!!!!
という気持ちでぶち上ったのは記憶に新しい。本当にびっくりしました。一番縁遠かったジャンル・・・・・。
TIPS解説:ニュートロってなに?
一方で、「言葉自体は聞いたことはあるけれど何のことやら・・・」、「わ!初めて聞いた!」という方も多いかと。
Newtroとは、「現在あるいは未来(New)」と「過去(Retro)」を融合させた「新しい過去」を意味する韓国の新造語である。
2019年、韓国のビッグドレンド“Newtro” 流行に至った経緯とK-POPに与える影響 - Real Sound|リアルサウンド
ニュートロブームの興隆とKPOPへの影響は、以下の記事にわかりやすくまとめてあったので、気になる方はチェックしてみると良いかと思います~!
さて、今回のDynamiteはそのニュートロの曲。古くて新しくて懐かしいとともにネオっぽい、そんなコンセプトです。
つまり、かつて流行ったものを「現代流にアレンジする」というコンセプトだったわけですが、それにしては!!!
えっ
あまりに音がレトロでは!?!?!??!?
わたしは、実は本当の初回視聴では、大画面でMVを浴びるためにテレビからYouTubeを見ていました。
そのためテレビスピーカーから音を流しており、このダイナマイトの恐ろしい魔法に気が付かなかったのです。
MVを浴び、まあ普通に号泣し(※限界オタク)、さて・・・イヤホンで聞きこむか!と、お気に入りの高音質イヤホンをつけ再生した瞬間、
えっ!!!!!!!!!!!!!!
高音質イヤホンを投げ捨てました。
BTS「Dynamite」解説 音作りのここがすごい!!
ぜひ聞きながらお読みください!
①これはイヤホンで聞く音楽じゃないのかも!?
BTSのDynamiteを再生した瞬間イヤホンを投げ捨てたわたしですが、その理由は「これ、高音質イヤホンで聞く曲じゃない!!!」とわかったからでした。
さっきテレビのスピーカーから流してた時の方が明らかに最適解。
スピーカーやラジオ、カーステレオで聴くための音楽だったんです。
どういうこと?と思う方も多いかもしれません。
よかったら、以下の2つの聞き方を試してみてください。
①手持ちのイヤホンで聞いてみる
②スマホのスピーカーから流して聞いてみる
・・・全然違いませんか????????
イヤホンの性能や性質にも寄るかと思いますが、雰囲気が!!!すごく!!!変わるんです!!!!
これ、イヤフォンじゃなくて外に音が広がっていく環境で聴くやつだ!!!!!!!!!良いインイヤーイヤフォンで聴くとビビるくらいロー(低音)が強い、もちろんイヤフォンで聴いた時はその作り込みにびびるんだけど、これは音を外に流すやつだ!!!!!!!好き ライブに行きたい
— スヤ (@hyuuunygyoyo) August 21, 2020
②Dynamiteの「聞きやすさ」
Dynamiteでびっくりしたのは、一つ一つの音の「聞こえやすさ」です。
楽器の音―ギターやブラスセクション、ベース、ビート、クラップ音、シンセサイザーなど―、そしてボーカル(×7)がそれぞれ分離していてものすごく耳で捉えやすいんです。
防弾少年団の楽曲は、前にも他の記事でごにょごにょ言いましたが、中音域にめちゃくちゃ楽器と声が固まっていて、中音域大戦争曲。(独断と偏見)
お世辞にもすごく聞きやすい!!!だとか、すごく繊細な音作り!!!とは言えないところも。
迫力と聞きごたえがあるので良い点でもあるのですが、1音1音の拾いやすさというか、すっきり感は薄いところがあります。
それがDynamiteはすっごく聞きやすい!!!
簡単に言うと常に「美味しい音」がわかりやすくて、曲の魅力をパッと聞きで掴みやすいんです。
③レトロな環境で聞きたいDynamite
Dynamiteには、「空間系」と呼ばれ昨今のKPOPによく使われている「幻想的な雰囲気を作り出すような楽器と楽器の間を埋める音」がほぼありません。
ニュートロがブームでレトロ感がKPOP界を席巻しているとはいえ、他の楽曲はあくまで「ニュー(New)」の要素があり、解像度の高い環境で聞くことを前提に作られています。つまり、密閉型の高音質イヤホンやヘッドホンで聞くことが主流だろうな、という想定の音作り。
ですが、今回のダイナマイトは、カーラジオとかお店のような、外で流れてる時に耳を引くように作ってあったんです。
密閉型のイヤホンで耳に直接流し込むと、普段は空気に溶けて逃げて行ってしまう低音域の音や、中音域の繊細な音がよく聞こえます。そのため、繊細な音世界を構成することが可能になり、KPOPはどんどんその緻密さを突き詰めていくような音楽が多くなりました。
BTSのDynamiteはその流れの対極を行くような音作り。
最近流行りの低音をブーストするようなイヤホンで聴くと、ベースラインの音が大きく聞こえすぎ、他の音をつぶしてしまうので踊れるみたいな軽やかさがすこーし減ってしまう。
高音域や中音域の解像度が高すぎるイヤホンで聞くと、少し声のエフェクトや楽器の音が尖って聞こえます。
つまり、解像度の高い環境下で聞くと、前述した「一つ一つの音の聞こえやすさ」が裏目に出てしまうということです。
それが少し性能の悪いスピーカーやレコード、カセットテープなど、レトロ(アナログ?)な環境で聞くと、すべてがまあるく融合してものすごく魅力的な曲になるんです!!!!
びっくりしませんか?!??!
【考察】ダイナマイトの戦略 Billboard Hot 100 1位へのビクトリーロード
明らかに「外に流す」ことを想定して作られた音作り。これに気が付いたとき浮かんだのは、アメリカ音楽市場で重要視される、ラジオのエアプレイでした。
米エアプレイチャートダイナマイトで吹き飛ばせ🧨❗️❗️🧨❗️❗️❗️‼️‼️‼️❗️❗️🧨❗️❗️‼️‼️‼️🧨🧨🧨🧨❗️❗️‼️‼️‼️‼️‼️‼️(物騒)
— スヤ (@hyuuunygyoyo) August 21, 2020
※物騒すぎ
2020年9月1日、BTSのDynamiteがBillboardのHot100というチャートで初登場1位を記録したことは記憶に新しいかと思います。
実は、DynamiteはこのBillboard Hot100をめちゃくちゃ意識して作られており、1位を本気で取りに行った楽曲なんだな、というのがわたしの個人的な感想です。
BTSとアメリカ音楽市場 エアプレイの重要性
いくらファンが増えたからといって、BTSが楽曲を英語歌詞にしただけでは、Billboard Hot100で初登場1位を取ることはできません。
※アジア圏のアーティストがBillboardチャートで上位を取ることは本当に難しいです。アメリカのポピュラーミュージック界に根深く残る問題と関係する側面もあります。
Billboard Hot100というチャートは、単に音源の再生回数や音盤のセールス成績だけでなく、「アメリカのラジオでどれだけ曲を流されたか」、つまりエアプレイが大事な指標になります。
Hot100は楽曲の社会への浸透度を測るために、売上だけに寄らず常に集計方法が変動してきた楽曲チャート。
まあ各所で指摘されているさまざまな指標の問題もありますが、「アメリカで今一番聞かれているヒットソング」を決めるために常に創意工夫されていると思っていてもいいでしょう。
そんなチャートで初登場1位を記録し、アメリカでヒットを遂げたBTS。その勝因の一つにはやっぱりこの音作りが関係していたと思うのです。
Dynamiteの一勝因を考察 ラジオ向けのディレクションが鍵に
散々言いましたが、Dynamiteは確かにラジオ向けのディレクションがされた曲。
ショッピングモールや車の中など、なんとなく聞いていたラジオで流れた時にその魅力を最大限発揮するように作られているんです。※私見
高音質環境向きに作られることの多いKPOPでは、ラジオでは真価を発揮できないことも多いです。なぜなら、ラジオ音質では作りこんだ繊細な音世界の再現度が低くなってしまうから。
例えば、BTSのDimple。
NCT Uの第7感。
NU’ESTのBack To Me。
繊細で奥行きのある音作り、隙間のある音世界、不思議な遊泳感、リバーブと言われる残響のエフェクト。
これらの音楽はライブのようなしっかりとその音楽を鳴らすための音響機器が設定されている環境や、高音質のオーディオ機器でないと再現できません。
ラジオで聞くと、メロディラインだけが浮き彫りになり、なんだか魅力が半減してしまいます。
対してDynamiteは、振り切ってラジオ向けにディレクションされた曲。
楽器が奏でる旋律もボーカルのメロディラインも聞き取りやすく、ふわっと流れてきたときに「おっ、いい曲」と曲の特徴と魅力を掴みやすいんです。
音楽を聴く環境がラジオ主体なアメリカではこの戦略は明らかに有効!!(ガッツポーズ)
Billboard Hot100の1位は、明確にラジオディレクションされたことによって掴んだ勝利と言っていいんじゃないでしょうか?
【追記】ダイナマイトの快進撃はつづく
ラジオプレイも好調で、初週の勢いのまま2週目もなんと連続で首位をキープしました。本当におめでとう…。
This is just...#우리아미상받았네 pic.twitter.com/Kq3uhyACWb
— 방탄소년단 (@BTS_twt) September 8, 2020
※喜びの雄叫びを上げる防弾少年団の皆さん(音量注意)
teamwork makes the dream work !
— 방탄소년단 (@BTS_twt) September 8, 2020
3周目は「WAP」に負けてしまいましたが、なんとその後1位に返り咲き!!!
もしかして…もしかして…と、彼らが目指す音楽賞が見えてきたような気がします。
BTSの"音"考察:タイトル曲と自作曲の音作りの違い
BTSのDynamiteの「音作り」について散々話をしてきたわけですが、BTSの楽曲全体の音作りに関して!!!ちょっとだけ考察して語りたいと思います!!!
グループとして出してるメイン音源の話をちょこっとしたらミクテの話を!!するよ!!!!!後半のミクテ(自作曲)の話がメインです!!!!!!!
BTS(グループ正規音源)楽曲の音作りの話
さて。Dynamiteがラジオプレイの最適解だった!と語りましたが、これは何も今回初めて出てきた特徴ではなくて、今までのBTS楽曲すべてに言える特徴でもあるんです。
BTS楽曲にわたしが共通して思うのは、彼らの音楽(特にタイトル曲)はどの環境で聞いても美味しい音がちゃんと聞こえる曲が多いという点。
つまり、スピーカーで聞いてもやっすいイヤホンで聞いても、高いヘッドホンで聞いても曲の印象がそこまで左右されないように作ってあるんじゃないか、ということです。
もちろん作りこまれた音もたくさんあり、高音質環境下で聞くと新たな発見も多いです。
それでも、第一にはいつどこどんな環境で聞いても、自分たちが伝えたいこと・楽曲の魅力がブレずに伝わるということに重きを置いているんだろうな、と思っています。
BTSメンバーのMIX TAPE(ミックステープ)
そんな!!!!正規楽曲とまるっと対照的なのが!!!
メンバーがsoundcloudに無料公開している自作曲!!!
※BTS公式soundcloudアカウント
あのですね、ミックステープの音世界、すごく面白いです。本当に。
内省的な歌詞や、正規楽曲では見られない一面にスポットが当たりがちですが、音作りの側面からもぜひ!!!味わい尽くしてほしい!!!
ということで、もう少々お付き合いください。
D-2 by Agust D(SUGA)の音世界
あなた、17000字超の限界感想文を書いておいてまだ語ることあるのか、とあきれ返った読者の方もいらっしゃることでしょう…。すみませんオタクなんです…。
※17000字超えの限界感想文
D-2は!!!ぜひちょっと良いイヤホンで!!!!!聞いてください!!!!!!!!!!!!
SUGAが作る曲は、強いヒップホップ!!みたいなイメージが強い方も多いかと思うのですが、実は楽曲によって繊細に色を変えるのが特徴。
トラックが作りこまれており、意外にもたくさんの音が鳴っています。じっくり聞いていくと、重なるトラックの多さにびっくりすることも。
特に、わたしが勝手に彼のクセというか魅力だと思っているのが、主旋律のメロディラインの裏で異なる種類の旋律を鳴らしているという点。
正規アルバムに収録されているものだと、Seesawが顕著です。
そしてD-2だとPeopleに顕著に表れています。
主旋律とは別に、楽器やコーラスワークで別のメロディをさりげなく交差させる彼の音楽は、ぜひ解像度高めの環境で味わい尽くしたい!
一方で、SUGAは引き算も得意。
常に音の重なりが多いトラックというわけではなく、効果的な隙間を作るのも上手です。
また、空間系や生楽器の音も効果的に使う人。ミキシングやマスタリングの技術を持っていることからも、音を加工するエフェクトを効果的に使う人でもあると思います。
なので、解像度の高いイヤホンでじっくり音に注目して聞いてみてほしいんです!!!
普段よりも音量を2メモリあげて、目を閉じて聞いてみるだけでもかなり違うかと思います。
ちなみにヘッドホンで聞くと、ちょっとだけ低音が重すぎてしまうのがAgust D曲。
そこは生粋のヒップホッパーというべきか・・・。ビートが重たい曲が多いので、低音ブースターイヤホンやヘッドホンだと少し頭に響く低音がきつく感じることもあるかもしれません。
さらっと流すだけでは聞こえてこない音まで作り込み、そこも含めて自分の表現としているAgust DことSUGA。彼の音世界はなかなかに面白いです。
mono. by RMの音世界
これまた独特な音世界を創造しているのがRMことナムジュン。
物寂しく、その一方でそっと寄り添うようなプレイリスト(ミックステープ)。
彼が愛好するインディミュージックのエッセンスを多分に感じる味のある楽曲集です。
そんなmono.は!!!!!ぜひ!!!ヘッドホンで聞きたい!!!!!
mono.は少しくすんだような音像と空間系の音が満載。奥行きと広がりのある音作りからなる瞑想感が最大の魅力です。
内省的な雰囲気が漂うmono.は、感情のぶれやその激しさを音の奥行きや広がりで表現しているような印象。
タイトルにもあるよう「モノクロ」な印象を作り上げるため、あたたかな生楽器の音はあまり使わずに、デジタルとエレクトロサウンドをうまく使ってあります。
旋律というよりも「音像」に重きをおいた音楽。たしかにBTSというグループでポピュラーミュージックの世界で戦う際には選択肢に上がりにくい表現方法かもしれません。
曲によっては圧倒されるような壮大な音作りもされています。
世界のBTSのリーダーとして日々常に苦悩し進み続けるRM。この音世界は彼の思考が渦巻く脳内世界の一部でもあるんでしょうか。
ちなみに、このプレイリストはイヤホンでも充分魅力を発揮すると思いますが、イヤホンの場合は音場が広いイヤホンがおすすめ。
全曲を通して、ややこもったようなくすんだような音作りとなっているので、全部がバランスよく聞こえる解像度の高いイヤホンよりは、音の広がりを重視したイヤホンの方が吉だと思います。
RMさんのこだわりが詰まった内省的な音楽観。彼の内面世界にどっぷりと浸るにはヘッドホンが向いていると思います。
ヘッドホンをして夜風を浴びながら外で寝転んで聞きたいなあ・・・という・・・。
Still With You by JUNGKOOKの音世界
ここはJ-HOPEの「Hope World」じゃないのか!!!!というお叱りの声が聞こえてきそう…。
言い訳をすると本当に本当にそのミクテのことは大好きで、実は上記2ミクテよりも自己再生回数が地味に多いほどなのですが…
ど~~~~~~~しても「Still With You」の音作りの話をさせてほしいんです。
膨れ上がる文字数と戦っています、許してください。
Still With You、ジョングクのソロ自作曲です。
聞きましたか?
今、何を使って聞きました??????????????(2回目)
iPhoneスピーカーから流した人、電車や外などちょっと騒がしい環境で聞いた人は、今夜!!!今すぐ!!!
無音の環境で密閉型のイヤホンを両耳にしっかりとはめて聞いてください!!!!!
(息切れ)
この曲が出た時、本当に眩暈がしたんです。きつくて。苦しくて。
もちろんその一要因は歌詞にもあるんですが、何よりもこの酩酊感と不安感のある音作りにその原因がありました。
この堂々巡りの思考みたいな音響もジョングクが表現したかった感情の一部だと思うのでほんとにイヤホンで聴いてください…全然違います、目眩がします、息苦しさが倍になります…(遺言)
— スヤ (@hyuuunygyoyo) June 4, 2020
Still With Youは左右前後から目眩みたいに音が鳴る構成になっているのでとってもイヤホンに向いてる曲です。
音があちこちから聞こえるから、ジョングクの葛藤とか堂々巡りの思考みたいなものも表現されてる感じがしてしまいます。
スピーカーから聴くとその聞こえ方がなくなっちゃうのが惜しいところ。
また、歌い方と声の使い方、そして声の加工の仕方も普段の正規音盤と全く違います。
普段は真っ直ぐで楽器のスキマをすっと抜けるストレートな響きの声を持つジョングク。
▽ジョングクの歌声についての限界感想文はこちら
でも今回は全く趣向が違っていて。ローファイな(ちょっとざらついた)音たちと一緒に少し遠ざかった位置から歌っているような音場配置になっています。
それと、ウッドベースの哀愁溢れるメロディラインも特徴的。歌のメロディと重なって息苦しさと切なさを増長しています。
一つのフレーズを左右で揺らすの…木霊するフレーズの酩酊感とか…小鳥が鳴くみたいな音…ウッベみたいな音…生音みが強い音とか…ジョングクのセンスと…あと歌詞と…左耳の上奥で響くコーラスとかギターのコイルの音、ブラシで叩いたときのスネアの音、美しい高音と音域の隙間を抜ける声ぜんぶが
— スヤ (@hyuuunygyoyo) June 4, 2020
歌詞と歌い方だけじゃない、音作りも表現の一部として選び取られていることが顕著なこの曲。
絶対に絶対に低音がちゃんと鳴るイヤホンで聞いてほしい・・・。
余談:ファンによる加工音源についての一思考
BTSの一年の色々が収録されているバカデカアルバム「Memories 2018」を買った人はわかると思うのですが、Disc1にラップラインのユニット曲「ddaeng」の作業風景が収録されていて。
スネアドラムの音作りひとつとか、小さな小さな聞こえ方に最後までこだわって最終調整をしていましたよね。
「メンバーが楽曲制作にかかわっている」というと、想起するのは歌詞を書いたりだとかメロディを書いたりだとかそういうことが多いのかもしれない。
でもそれだけじゃなくて、音の聞こえ方つまり音作りも含めて彼らが表現したいことであって、そこにも意味や担っている役割があるんだと思うのです……。
ファンがよく「メンバーの声を聞こえやすくした音源」などを作って配布していることがあります。
もちろん加工音源を楽しむことは悪じゃないしわたしも参考程度に聞くんだけど、敢えて「メンバーのボーカルが遠く聞こえる音作り」という表現手段を取っていることもあるんだよ、ということも知られてほしいなあと思ったり。
ミックステープは特に音作りに個性があったし、本人たちも絶対そこにもかかわっていて、PDと一緒に聞きながら調整して作り上げていったんだと思うので。
ぜひぜひイヤフォンヘッドフォン、スピーカー、いろんな方法で原曲音源を聞いて、いろんな角度から楽しんでみるのもいいんじゃないかなあ、なんて思うのです。
おまけ解説①:オーディオ機器とKPOP
KPOPとイヤホン
KPOPはイヤホン向き!というのが持論です。前述のとおり作りこまれている音楽が多いから。
没入感のある音楽や、作りこみの激しい音楽が好きな方はイヤホンにこだわると曲の解像度みたいなものがぐっと変わるのでおすすめですよ!
独断と偏見で選ぶイヤホンで聞きたいKPOP
①NCT127 Neo Zone
▽全曲解説記事 byでこ はこちら
②OnlyOneOf Produced by [ ]
個人的に音源に絶対の信頼を置いているグループです。
OnlyOneOf、アルバム『Produced by [ ] Part 1』をリリース。タイトル曲‟angel”ラッパー兼レコードプロデューサーのGRAYがプロデュースを手掛けたナンバー。エデンの園を表現したファーストミニアルバム『DOT POINT JUMP』のタイトル曲‟savanna”と、前作『LINE SUN GOODNESS』のタイトル曲‟sage/救い”に続く善と悪のストーリーの延長線にある内容が盛り込まれている。BOYCOLDが手掛けた‟designer”は、ファーストミニアルバムの収録曲‟picassOと、2020年1月発表のシングル‟dOra maar”の拡張版として、OnlyOneOfのシグネチャーである「art pop」を表現している。アルバムの最後を飾る‟君-嘘 -僕”は、前作‟君-停留所-僕”のように、切ない愛の感情を描いた作品。
ちなみにイヤホンの選び方をたまに聞かれるのですが、本当に好みと予算と耳の穴の形によるのであまり込み入ったアドバイスはできないというのが本当のところ…。
以前Twitterで質問いただいたのでその時の回答をちょこっと編集して載せておきます。
イヤホンを選ぶときは試聴が本当に大事!
おすすめは3曲くらい志向の変わった曲を用意しておくことです。
イヤホンごとにその3曲を聴き比べします。3曲のチョイスは、自分が良く聞く曲のなかから、ビートが激しい曲・アコースティックっぽい曲・流れるような美麗曲を見繕うのがおすすめ。(詳しく書くと別記事ができそうなので割愛します。)
各イヤホン、メーカーや機種によってちょっとずつ音作りの特性は違うので好きな音見つけたら勝ちです、表面上のスペックに意味はないので……。というか同価格帯の商品は、プロならまだしも一般人の耳ではスペックに大差ないです。
あとは詳しくて忍耐強くて暇そうな店員さんを見つけること。とても大事…。
KPOPとヘッドホン
ぶわわ!と広がるような音像が好きだ!という人、重低音を体に感じたい!という人、奥行きのある曲が好き!という人、イヤホンの密閉感があまり好きではない人はヘッドホンがおすすめです。
独断と偏見で選ぶヘッドホンで聞きたいKPOP
①NU’EST The Nocturne
▽全曲解説記事 by でこ はこちら
②AB6IX 5NALLY
メンバー全員が楽曲の制作に参加し、全員のソロ曲が収録されているアルバム。
公開されたトラックリストには、チョン・ウンが初めて作詞、作曲に参加した夢幻的なR&Bスタイルの曲「MOONDANCE」をはじめとして、“作曲もできるアイドル”に浮上しているキム・ドンヒョンが作詞、作曲したPOP R&B曲の「MORE」、作曲もできるアイドルとして有名なイ・デフィが作った感覚的なビートのダンス曲「ROSE, SCENT, KISS」をはじめ、リーダーのイム・ヨンミンが書いた感性的な歌詞が際立つ「BREAK UP」とパク・ウジン、イ・デフィが制作に参加した強烈なトラップヒップホップ曲「COLOR EYE」まで計5曲のクレジットが収められた。
わたしはヘッドホンはバンドで楽曲の音取りをするときにしか使わないので詳しくないですが…。ヘッドホンも基本的に試聴の要領は同じ!
ヘッドホン選びをたすけてほしい・・・という方は弊ブログのでこ氏がヘッドホンユーザーなので聞いてみてください!(全投げ)
おまけ解説②:環境のマジック 聴く環境による聴こえ方の違い
BTSスタジアムコンとドームコンの話
ちなみに聞く機器だけでなく、聴く環境(場所)によってもぜ~んぜん聞こえ方が違いますよ、という話を簡単に。
スタジアム公演
— スヤ (@hyuuunygyoyo) December 16, 2019
・地に吸い込まれる低音(待って)
・「聞こえること」を最優先の中音(助けて)
・上空に散り逃げていく高音(行かないで)
・リバーヴなどない
・雨による通信障害
耳に直接音を届けるイヤホンやヘッドホンではなく、「外に音を流す」場合もまた話がかなり違ってきます!!!
引用したツイートは単にスタジアムコンの悪口みたいになってしまっていますが、音が反響する壁や床があるかないかでもかなり変わってくるのも面白いね、という話。
これはまた別の記事にしないと大変なことになってしまうので余談として置いておきます!
おわりに:見えないものを見ようとして
1周年に際してなぜこんなコアなテーマで書こうかと思い立ったかというと、音楽って歌詞だけじゃないの!!!ってことがどうしても言いたかったからです。
もちろん歌詞も大事です。作った人、歌っている人の思いが直接的に最も表れる部分だと思います。KPOPに関しては、気に入った曲の歌詞は調べますし、自分で拙く和訳してみることもあります。
ですが、本や詩を読むのとは違う、音楽の面白さって実はその「音自体」にもあると思っていて。
わたしは以前より海外のバンドが好きでしたし、今は韓国音楽にもどっぷりです。それらの音楽を追っていくうえで、どうしてもニュアンスを根っこから理解することのできない、異国の言葉という壁ももちろんありました。
それでも、歌詞が全くわからなくても、どうしてだか心を震わせる音楽ってたくさんあって。なんでだろう、なんで涙が出るんだろう、なんでこんなに高揚するんだろう、なんでこんなにも心が熱くなるんだろう、そういうときってありませんか?
言葉の壁を越えて、普遍的に心に響く音楽。
世界をコロナウイルスという病魔が席巻する中、世界中のアーティストが苦しい状況の中でたくさんいろんな楽曲を世に送り出してくれました。言葉がわからなくても、その一つ一つに慰められたり勇気づけられたり、怒りが発散できたり涙のデトックスになったり。
その音楽の不思議な一要素について自分の言葉で紐解いてみたかった。
それが叶う場がこうしてあることにとても感謝しています。1周年を迎えた本ブログ、愛してくださってありがとうございます。
それとね!!!推しがつくった音楽、歌詞だけじゃなくてこんな部分からも吸い尽くせるんだよ!!!表現者・制作者が「この音で行こう!!」と選び取った表現方法がいとおしい。尊い。吸い尽くしたい。
こんな風にいろ~んなやり方で推しを愛でているオタクがいるもんだなあと思ってもらえれば、筆者冥利に尽きます。
音楽!!!!!好きだ!!!!!!!!!!!!!!!!
1万字超えないように書きたかったのに全然超えちゃったな~
おわり
Written by.
すや