Agust D、およびSUGAの音楽は、あの異様なまでに鋭い歌詞が特徴でもあるのかもしれない。けれども不思議なことに、彼の音楽は歌詞の言語がわからなくても、なぜだかどんな感情を語っているのか、すごくわかるときがある。
それは私がユンギさんのファンだからなのかもしれないし、ただの思い込みかもしれない。でも、和訳歌詞を見なくても、韓国語が1割2割しかわからなくても、痛いくらいに突き刺さり、つらいほどに染みわたり、拒んでも流れ込んでくるものが、ある。
優しい言葉は優しく、鋭い言葉は鋭く。
悲しい言葉達は悲しい音がして、絶望の言葉は絶望の音がする。傲慢とも思える言葉は誇りと自負と皮肉の音がする。切なく苦しい言葉には、息が詰まるような音が乗る。
何よりもミンユンギの音楽がミンユンギそのもので、あまりに率直。彼が曝け出した血肉ともいえる言葉は残酷で、臆病で、ある種醜く、いっそ怖くなるくらいに正直だ。そして彼が紡ぐ音楽は耐えられないくらいにせつなくて美しい。
こんなにも言葉と、作り手の思想と、生き様とが直結した音楽を、わたしはほかに知らない。
今日、2020年5月22日サプライズをもって突如リリースされた「D-2」。
BTSのSUGAの個人名義、Agust Dの2作目となるミックステープの感想諸々を書き記しました。個人的な記録と感性的なつぶやきの集合体ですが、どうぞよしなに。
- 「D-2」by Agust D 全曲レビュー解説という名の感想語り
- 「D-2」by Agust D -セットリストと楽曲クレジットー
- Agust DおよびSUGA of BTSの楽曲と歴史を少しだけ
- Agust D '대취타' MVについて少しだけ -スタッフ陣についてのTMI-
- Agust D 各所インタビュー/レビュー
- あとがき
「D-2」by Agust D 全曲レビュー解説という名の感想語り
歌詞の情報はあまり入れずにつらつらと感性的に曲の感想を語りました。今回は1ミリも楽曲分析はできておらず、ただのエッセイです。すみません。
01. 저 달 [Moonlight]
浮遊感のあるおしゃれなシンセとリラックスしたビートから始まる曲。ラップパートが始まる前に右耳の少し近いところから聞こえてくるトランペットみたいな音が印象的。
あの細くてもはっきりと響くペットの音から一気に「D-2」が始まる気がする。スクラッチの音がおしゃれ。何よりもうねるベースラインと空間系シンセの音が堪らない。左耳の奥で鳴り始めるギターにときめきを感じる。ユンギさんは生楽器の音を取り入れるのが上手。好きだ!!!
ラップのフロウはユンギさんの一番オーソドックスなラップな感じ。昔から変わらない、時折しゃくりあげるみたいな声の使い方と、ちょっと酔っ払ったみたいなフロウが好きだ!!!いつもの泥臭さ?良いダサさ?でもやっぱり洗練されてる。
・・・などと思っていたら歌った。!?
故Juice WRLDとのコラボ以来、ユンギさんが新たに手にした「歌」という表現方法。ユンギさんがこの部分にラップじゃなくて「歌」を選んだ理由はなんだろう。強調したいところなのか、優しく伝えたいのか、印象に残ってほしい大事なパートなのか。
わからないけれど、この「歌」の部分でぶわっと広がるトラックが好き。シンセの音、キーボードの音がぶわっと広がって、歌パートとリンクして溶け合うようにボリュームを上げる。
ユンギさんがこの曲で「D-2」を始めた意味を考えてしまう。前作「Agust D」とは180度違うサウンドの曲。何が来るんだろう、どんな曲が来るんだろうとすごく身構えたわたしたちをハハッとからかい笑うような、そんな軽やかさがある曲。
「月」をテーマにした曲は、他のメンバーも書いているけれど三者三様だ。ユンギさんにとっての月は柔らかく、そしてどこか冷たく、いつでも変わらずそこにいて、彼の夜を照る存在なんだろうか。それを表すような、展開と起伏が少ない曲。
なんだか安心する感じもするけれど、時に虚しいような印象も受ける。繰り返しのフレーズが多い。シンプルでドリーミンなサウンドだけれども、何度も何度も何度も、月が白く薄くあけぼのに溶けるまでずっと聞いていたい曲だと思った。
02. 대취타 [Daechwita]
MVにもなっているタイトル曲。これぞAgust D!!!!!待ってました!!と言わんばかりの曲。韓国語のリスニングがほぼできない私にも、わかる。これは攻撃の曲。
ミンユンギ節全開かと思いきや、高みから見下ろすような冷静さと狂気さを兼ね備えたフロウに聞こえる。切羽詰まったしゃくりとか詰まったようなブレスがあんまり無くて、これはユンギさんがつらつらと世をディスるときのトーン。
そして低音が!!!!!とっても分厚い!!!!ビートのキックの厚みが尋常じゃない。ユンギさんの曲は低音が大体強めで、下に音の幅が広いけれど、この曲はそれがとても顕著。大好き。
あと、ユンギさんはいわゆる「サビ」にあたるパートの裏に、よく楽器のメロディラインをぶつけてくる。そんなことをしたらごちゃごちゃするかと思いきや、不思議な化学反応と調和によって相乗効果を生む。대취타はそんな彼の美学が生きた曲だと思う。
ちなみに、この音とタイトルは何!?と思い、聞いてすぐにこれだけは、と調べた。大吹打は「王様が宮中の外に出かけるときや、軍隊が行進するときに演奏した伝統音楽」らしい。
韓国にルーツが一切ないので、このフレーズを聞いて何かを想起することができないのが、DNAに刻まれた文化がないのが、ちょっと、いやすごく悔しい気がする。
03. 어떻게 생각해? [What do you think?]
ユンギさんの真骨頂。こういう不穏なトラックと歌詞を書かせたら天下一品。ブーストされたベースと不穏な和音のシンセがずっと鳴り続ける。
ちなみに「Big cars, Big house, Big rings」というおなじみの歌詞も登場してた。NO MORE DREAMにもInterlude:Shadowにも、そしてHOMEのユンギさんパートにも登場する「富と成功」の象徴。
Shadowが出た時に病み散らかしたことを思い出した。
上の記事でも書いたんですが、SUGA=ミンユンギは人間であって、誰の偶像でもないんだということをこうやって常々突き付けられる。なんでこの人アイドルやってるんだろう。
ユンギさんが作る曲は歌詞がいやでも聞こえてくる。意味が分からなくても彼の作る音楽は「聴け!!!!!!!!!!!!」と言わんばかりに、言葉よりもさらに音が雄弁なのです。目をそらすことを許してくれない。インタビューとかvliveを見る限りでは、ユンギさんにそういうつもりはないのかもしれないけれど。
無意識下で彼は生まれながらの表現者であって、一定数以上の人たちにものすごい勢いで突き刺さる音楽を作る。
信奉者であるわたしも、ユンギさんの言葉や音楽に時折焼け爛れるような痛みを感じることもあるし、耳をふさぎたくなる日もある。だって推してるアイドルなのに。甘い夢に浸らせてくれない。あまりにトゥーマッチな彼の渇望と絶望、孤独の独白にきっと胸焼けを起こす人もいるんだろう。
彼の音楽の「人を刺す」力はすごいなと、こういう曲を聴くと思う。人を刺すアイドルってどんなだ。アイドルが作る音楽にしては、音楽の向こう側に血肉が見えすぎる。
でもそこが、わたしにとっては世界一かっこいい。あんなに高いところにいるのに、ずっと苦しんでもがいているユンギさんをどうしても、見届けたい。彼がその内面を溶かして曝け出す音楽を見ていたい。だってなんだか勇気が出るんだ。
なんて醜悪な感情なんだろうか。これは、ファン心?
あとプロアイドルももちろん好きだけども、結構表現者独特の苦悩にものすごく引き寄せられてまうというか、コンセプトと売りと地位とハングリー精神と虚無と栄光との狭間でもがいて人間してる演者を見るのが好きだから(変態)、生の温度を感じさせるのがうまいと惹かれるなぁ、しゅちむ推しの所以
— 亡骸(スヤ) (@hyuuunygyoyo) March 22, 2020
04. 이상하지 않은가 (feat. RM) [Strange]
ピアノのイントロから始まる曲。リバーブの聞いた切ないピアノの音が虚空に響いて、音場が広くて、イントロの一節で胸がぎゅってなる。そして初っ端から転調する。何それかっこいい…。
ミン・ユンギと言えばピアノ。初恋の存在、彼の分身、音楽の源。やっぱりピアノのフレーズが印象的な曲を持ってきたなあ。ユンギさんが書いたわけじゃないみたいだけれど、「音楽のフィーリングが驚くほど合う」と言っていたイジョンくん(EL CAPITXN)によるプロデュース。クラシカルで陰鬱で、虚しさを感じるサウンド。
ユンギさんの中音域が強く出るEMOな歌声の声質と、ナムジュンのかすれて低いハスキーな声、このピアノのフレーズは相性が良いと思う。ラップパートの時は、ピアノが少しシロフォンみたいな加工の音になる。残響を減らしてアタックを強めることで、より二人の声が渋く嘆かわしく聞こえるのかな。
ユンギさんのラップの裏にこだまするgang vocalはナムジュン。防弾少年団の屋根で屋台骨。アイドルとしては愛を語る世界のBTSのリーダー。この曲はナムジュンも作詞にかかわっているみたいだけれど、この2人はずっとこういう話を重ねてきたんだろうか。
Respectを出した二人がこんな陰陽の対みたいな曲を出すなんてずるい。
ちなみに2人のラップはフロウとかデリバリーが全然違っていて、2人で曲を作り上げるとその変化がスパイスになっておいしいのだ。考え方とか性格の違いがそのままラップに出ているようで、対話みたいなラップだなと思う。
ただ、向き合って笑いあって話しているような「Respect」とは打って変わって、バーのカウンターに横並びに座っている。深夜にぽつりぽつり、互いの顔を見ないまま、前を向いたまま話すときのあの感じ。
05. 점점 어른이 되나봐 (feat. 니화) [28]
先日IUが「Eight」という28歳の自分を象徴する曲をリリースして、そのプロデュースをユンギさんが担当したわけだけど、タイトルを見てそのことを思い出した。
この曲はすごく短い。あっという間に終わってしまう。ユンギさんの28歳は短かったんだろうか。だけどこの曲のトラックはすごくリッチだ。短い中にぎゅっと日々が詰まっているような。サビの裏で鳴る高い音のシンセが走馬灯とか小さな悲鳴みたい。
重なるコーラスとディレイが追いかけて追いかけて、シンセサイザーのリリース音が長くって、掴みどころのないものを追っているみたい。
この曲を聴いているときになぜだか涙が出た。繰り返すフレーズに切ない響きを感じとって、勝手に泣いてしまった。2分とちょっとしかない、短いけれど忘れられない曲。
【2020.05.27追記】
盟友でこもミクテの感想を下ろしてくれたのですが、この曲の調はCメジャー/Aマイナーだそう。
Cメジャーっていうのは簡単に言うとシャープもフラットもついていないノーマルな「ドレミファソラシ」の曲。Aマイナーは「ラシドレミファソ」の曲。構成音は同じです。
あっ 好きな音がする 音数すっくな…
シュガ然り、防弾メンバーが「Cmajor/Aminor」を選ぶのはここぞというときの意味深い手段だと思ってるので色々勘ぐってしまうね
彼女は楽曲の調号から考察することが得意なのですが、どうやら防弾少年団まわりの楽曲にとってはCメジャー/Aマイナーが重要な調号みたい。直近のアルバムでは「We are Bulletproof: the Eternal」で使われていた。
We are Bulletproof: the Eternal
(中略)
原曲を想起させるような強い楽曲を持ってくるかと思ったら完全に泣き曲…ラストシーンを彩る曲として完成度が高過ぎるよ
防弾の曲ってCメジャー本当に少ないんです 節目節目の大切な曲で、ここぞという時だけ持ってくるこの大団円感 ここで出さずしていつ使うって感じなんだけど あまりにも輝きが眩しくて、上手くまとまっていて、苦しい
この曲「점점 어른이 되나봐(28)」は、5曲目。Interludeを除くとこのミックステープのちょうど真ん中に位置する曲。
"28歳の記録だ"と語るミックステープの中で、やっぱり重要な曲なんだろうか。
【追記・了】
ちなみにコラボしているのはK-R&B界のアーティスト니화 (NiiHWA)くん。コラボの経緯は全然知らないけれど、ユンギさんがK-R&Bアーティストとコラボしたのが嬉しい!
もっとこのあたりとコラボしないかな?聞いてみたい…。
あと聞き覚えのある女性のコーラスがいる!と思ったらおなじみADORAちゃんでした。ユンギさんの曲にADORAちゃんのコーラスは本当によく映える。Seesawとか顕著だったね。
06. Burn It (feat. MAX)
「D-2」折り返し地点の6曲目。少し切なさとか虚しさをにじませた雰囲気からまた一転して、燃え盛る業火の炎。重たくエモーショナルなエレキギターとユンギさんが多用するヒップホップの重たく下に引っ張る低音が特徴的。
ユンギさんの炎はいつだって燃え滾っている。ユンギさんは実は熱い男なわけだけども、その炎でいつか自身を焼き尽くすんじゃないか…と思ってしまう。ユンギさんと炎のモチーフはビッグヒットのコンセプトの植え付けによるもの。そうわかっていても、ユンギさんと炎は親和性が高い。
あとこの曲は、まさかのMAXとのコラボ。相当MAXがユンギさんになついているというか、まあ何かしらでコラボするんだろうな~とは思っていたけれどミクテだったとは…。恐るべしミンユンギ。MAX、ふだんはただのゴキゲンな黄色いお洋服の兄ちゃんなのに、歌うととってもエモーショナルな声をしている。ナイスガイな彼とユンギさん、どの琴線にどう触れたのか全然予想がつかなかっただけに、曲調も何もかも予想外だった。
“BURN IT” WITH MY BROTHER SUGA AKA AGUST D OUT NOW pic.twitter.com/Tc0tr8I6YK
— MAX (@MAXMusic) May 22, 2020
07. 사람 [People]
息の詰まるような炎から、涼やかな音世界に。氷の上に水が滴るみたいなシンセと、さらさらと流れるようなストリングスがうつくしい曲だなあと思う。もしかしてストリングスが出てくる曲、この曲がはじめて?!
優しい雨の中で聞こえる音楽のようにも思えるし、木漏れ日の下で聞きたい音のような気もする。星が降る夜に大切な誰かと聞きたくなる曲でもあるかもしれない。こんな曲も書くなんてずるいよ。本当にずるい。爽やかな音像で綺麗な曲なのに、どこか悲しいのはなんでなんだろう。
気になったので一番に歌詞を見に行ったけれど、この曲は2020年、28歳のミンユンギだから書けた曲だったんだろうな、と思った。
そして、日本人の私はこれを思い出したのだった。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。
それと、こんなに優しい声で歌う人だってことも知らなかった。泣くように刺すように痛々しくも力強くも感じる声で歌う姿を見てきたから。ユンギさんのわかりにくい優しさが溶け出したような、柔らかな水のせせらぎみたいな曲をくれた。
ちなみにこの曲もADORAちゃんがコーラス参加。こういうせつなくて綺麗な曲にかかせない透明な声だと思う。
好きがカンストすると文章がどんどん短くなるなあ。ここからの後半ゾーンがすごく好き。
08. 혼술 [Honsool]
曲名を和訳すると「一人酒」。イントロの心地よくも薄く不安を感じる酩酊感と、そこから地獄から響くみたいな低音、これってまさに一人で深酒しているときの・・・さっきまで一人でも美味しく楽しく飲んでたのに急に不安に襲われる現象みたいで…。
ちょっとイントロは特にトラウマになるかと思いましたね……。聞いてるだけで酔いそう…。
一人でああ、今日も疲れたなってお酒を飲むときに、浮遊感と一緒にやってくる、あの時間。押し込めてた不安とか思考の渦がどっと溢れてのまれて止まらなくなる、あの時の音だよ。あ、怖くて泣けてきた。
さっきまでしあわせだったのに何してくれるの、ユンギさん。涙目です。
だけど、こんなささやかな人生を送っている自分と、あれだけの富と地位を得たユンギさんが「同じだ」と思える、これだけで最低だった今日も生きていけそう。
これは昔書いた自分の文章からの転用なんだけど。
人が辛いって言ってるところってそんなに見たくない、移るから。でも自分が落ちているときは、安心する。この人も独り、私も独り。そういう諦めというか一種ゆがんだ感情を、私は文字では持て余すタイプなので、音楽にそういう救いを求めているのかもしれない。
ユンギさんの曲にそういう歪んだ救いを求めているときがある。そんな音楽の摂取の仕方をしてはいけないと、思いつつも私は今日も音楽にすがる。
09. Interlude : Set me free
ちょうど、今これを書いているのが朝の5時半で、外が明るい。鳥のさえずりが入っていて、これはもしかして早朝の曲なんだろうか。
最後の曲の前に、Interludeがあるなんて思わなかった。ああ、聞き終わってしまう…と思っていたところに異色のInterlude。まさかのユンギさんがオール歌。つくづくサプライズが好きな男である。
ところでこの曲の、穏やかだけど不安を感じるこの和音は何だろう・・・?寝不足も相まってコードの音が一切取れないので得体のしれない不安定さに襲われる。
【2020.05.27追記】
わたしが気味悪がっていたらまたもやでこが解き明かしてくれた。コードの話はほんと下調べしてないから間違ってたらごめんとのこと。ありがたいです…。
「不安な和音」@すやブロ、7度の不安定さかな…と思った 明るいCメジャーなのにシの音に♭がついたりつかなかったりする、7度ってただでさえコードの色を決めてしまう不安定な音だから あと3度(ミ)
from: https://twitter.com/decoranger_neo/status/1264580130694852609?s=20
【追記・了】
この曲はどこかできいたことあるような妙なノスタルジーを感じてしまう。遠くで鳴っているエレキギターが郷愁を誘う音を奏でる。低音が優しくて柔らかくて、包まれる感じ。だけど足元がふわふわでぐらついて、そこはかとなく不安。
ユンギさんは誰に願ってるんだろう。「Set me free」と歌うユンギさんがつらい。だけどすごく揺さぶられる、私も自由になりたい。何から?
10. 어땠을까 (feat. 김종완 of NELL) [Dear my friend]
Set me free、の残響が残る中、始まるリバーブが美しいピアノの細い旋律でもうだめだった。会社でトイレに駆け込んで泣いたし、今も泣いているから本当にだめだと思う。
こんなにうつくしい音が世界にはあったのか、って本気で思った。それくらい、この流れが、最後の曲の最初の旋律としてうつくしくてせつなかった。
歌詞を見なくても、タイトルと音だけでわかる。ユンギさんが大切な誰かを思って書いた曲だ。ユンギさんは音楽で嘘をつかない人だと思う。だから純度の高い感情が音を介して、痛いほどに伝わってくる。
ロック特有のまっすぐさとユンギさんの鋭利で澄んだ音楽性はこんなにも相性が良かったのか。この曲が聞ける世に生きていてよかったな。そう思って終われるミックステープだった。
ちなみにこの曲はNellっていうホンデ出身の韓国バンドのギターボーカル、キムジョンワンさんのフィーチャリング曲。クレジットを見たら、ピアノもギターもドラムもシンセもぜーんぶジョンワンさんがやっていた。トッドラングレンみたい…。
https://www.instagram.com/nelljwk/
自叙伝のようなmixtapeの最後の曲を、尊敬する先輩とのコラボで締めるのは、ユンギさんらしいな、と思ったりもした。
「D-2」by Agust D -セットリストと楽曲クレジットー
データベースも兼ねた情報の羅列なので次のチャプターにジャンプしたい方は【ここをクリック】してください。次章に飛びます。
01. 저 달 [Moonlight]
直和訳:あの月
Produced by Agust D, GHSTLOOP
(Agust D, GHSTLOOP)Keyboard - Agust D, GHSTLOOP
Synthesizer - Agust D, GHSTLOOP
Vocal & Rap Arrangement - Agust D, Pdogg
Background Vocals - ADORA
Bass - FRANTS
Digital Editing - GHSTLOOP
Recording Engineers - Agust D @ Genius Lab
ADORA @ Adorable Trap
Pdogg @ Dogg Bounce
FRANTS @ Studio Bambi Gang
Mix Engineer - 박진세 @ Big Hit Studio
02. 대취타 [Daechwita]
直和訳:大吹打 ※王様が宮中の外に出かけるときや、軍隊が行進するときに演奏した音楽
Produced by Agust D, EL CAPITXN
(Agust D, EL CAPITXN)Keyboard - Agust D, EL CAPITXN
Synthesizer - Agust D, EL CAPITXN
Vocal & Rap Arrangement - Agust D
Digital Editing - EL CAPITXN
Recording Engineer - Agust D @ Genius Lab
Mix Engineer - Yang Ga @ Big Hit Studio*Contains a sample from "Daechwita" by National Gugak Center
Korean traditional music instruments - National Gugak Center Court Music Orchestra
03. 어떻게 생각해? [What do you think?]
直和訳:どう思う
Produced by EL CAPITXN, GHSTLOOP
(Agust D, EL CAPITXN, GHSTLOOP)Keyboard - EL CAPITXN, GHSTLOOP
Synthesizer - EL CAPITXN, GHSTLOOP
Vocal & Rap Arrangement - Agust D
Digital Editing - GHSTLOOP
Recording Engineer - Agust D @ Genius Lab
Mix Engineer - Ken Lewis for iProduceMusic.com @ Katalyst Studios, NYC (Assisted by Dominik Rivinius)
04. 이상하지 않은가 (feat. RM) [Strange]
直和訳:おかしくないか
Produced by EL CAPITXN, GHSTLOOP
(Agust D, EL CAPITXN, GHSTLOOP, RM)Keyboard - EL CAPITXN
Synthesizer - GHSTLOOP
Vocal & Rap Arrangement - Agust D, RM
Digital Editing - GHSTLOOP
Recording Engineers - Agust D @ Genius Lab
RM @ Rkive
Mix Engineer - Ken Lewis for iProduceMusic.com @ Katalyst Studios, NYC (Assisted by Dominik Rivinius)
05. 점점 어른이 되나봐 (feat. 니화) [28]
直和訳:ますます大人になるようだ
Produced by EL CAPITXN, Hiss noise
(Agust D, EL CAPITXN, Hiss noise)Keyboard - EL CAPITXN, Hiss noise
Synthesizer - Hiss noise
Background Vocals - 니화, ADORA
Digital Editing - Hiss noise
Vocal & Rap Arrangement - Agust D
Recording Engineers - Agust D @ Genius Lab
니화 @ mud ground
ADORA @ Adorable Trap
Mix Engineer - Ken Lewis for iProduceMusic.com @ Katalyst Studios, NYC (Assisted by Dominik Rivinius)
06. Burn It (feat. MAX)
Produced by Agust D, GHSTLOOP
(Agust D, GHSTLOOP, MAX)Keyboard - Agust D, GHSTLOOP
Synthesizer - Agust D, GHSTLOOP
Guitar - FRANTS
Background Vocals - MAX
Digital Editing - GHSTLOOP
Vocal & Rap Arrangement - Agust D
Recording Engineers - Agust D @ Genius Lab
Ryan Siegel @ Colour Vision Studios
FRANTS @ Studio Bambi Gang
Mix Engineer - Ken Lewis for iProduceMusic.com @ Katalyst Studios, NYC (Assisted by Dominik Rivinius)
07. 사람 [People]
直和訳:人
Produced by Agust D, Pdogg
(Agust D, Pdogg)Keyboard - Agust D, Pdogg
Synthesizer - Agust D, Pdogg
Vocal & Rap Arrangement - Agust D
Background Vocals - ADORA
Digital Editing - Hiss noise
Recording Engineers - Agust D @ Genius Lab
ADORA @ Adorable Trap
Mix Engineer - Ken Lewis for iProduceMusic.com @ Katalyst Studios, NYC (Assisted by Dominik Rivinius)
08. 혼술 [Honsool]
直和訳:一人酒
Produced by Agust D, Pdogg
(Agust D, Pdogg)Keyboard - Agust D
Synthesizer - Agust D, Pdogg
Vocal & Rap Arrangement - Agust D
Digital Editing - Hiss noise
Recording Engineer - Agust D @ Genius Lab
Mix Engineer - 정우영 @ Big Hit Studio
09. Interlude : Set me free
Produced by Agust D, Pdogg
(Agust D, Pdogg)Keyboard - Agust D, Pdogg
Synthesizer - Pdogg
Vocal Arrangement - Agust D
Background Vocals - ADORA
Guitar - FRANTS
Digital Editing - Hiss noise
Recording Engineers - Agust D @ Genius Lab
ADORA @ Adorable Trap
FRANTS @ Studio Bambi Gang
Mix Engineer - 박진세 @ Big Hit Studio
10. 어땠을까 (feat. 김종완 of NELL) [Dear my friend]
直和訳:どうだったんだろう
Produced by Agust D, 김종완, EL CAPITXN
(Agust D, 김종완, EL CAPITXN)Piano - 김종완
Synthesizer - 김종완
Acoustic Guitar - 김종완
Electric Guitar - 김종완
Background Vocals - 김종완
Drum Programming - 김종완
Gang Vocal - Slow Rabbit, FRANTS, Hiss noise, GHSTLOOP, Summergal, 정우영, 김지연
Digital Editing - Hiss noise
Recording Engineers - Agust D @ Genius Lab
김종완 @ Satellite Studio
Hiss noise @ Analog lab
Mix Engineer - 구종필 @ KLANG STUDIO (Assisted by 정유라)
Agust DおよびSUGA of BTSの楽曲と歴史を少しだけ
ユンギさんがプロデュースに携わった曲を連ねてみました。
実は1曲ずつ言及して、彼の音楽性の変遷と変わらないものについて書きたかったんですが…。
前章までの時点で文字数が大変なことになっていたので、とりあえず記録としてリストアップだけしておきます。うまいことまとめられたら、別記事としてSUGAさんの音楽性について何か語りつくせたらな…なんて思っています。
サウンドについてまとめたかったので、歌詞のみにクレジットされている楽曲は除外。プロデューサーとして連名されている曲、メインプロデューサーを務めた曲を列挙しました。
《SUGA/Agust Dプロデュース楽曲一覧》
- 518-062 ※D-Town名義
- Path(共同制作)※隠しトラック
- Tomorrow(Slow rabbitと共同制作)
- Jump(Pdogg & Supreme Boiと共同制作)
- Let Me Know(Pdoggと共同制作)
- Boyz with Fun(Pdoggと共同制作)
- Dead Leaves(slow rabbitと共同制作)
- Agust D ※Mix Tape
- First Love(Miss Kayと共同制作)
- Wine(Slow Rabbit, Suran, & Juneと共同制作)※Suran提供曲
- Outro: Her(slow rabbitと共同制作)
- Sea(Slow Rabbit, RM, & J-Hopeと共同制作)※隠しトラック
- Ddaeng(RM, J.Pearl, & J-Hopeと共同制作)
- Eternal Sunshine(Tablo, El Capitxnと共同制作)※Epik High提供曲
- We don't talk together(El Capitxnと共同制作)※Heize提供曲
- Suga's Interlude(Lido, Pdoggと共同制作)※Halsey提供曲
- Interlude: Shadow(El Capitxn, Ghstloopと共同制作)
- Respect(Hiss Noise, El Capitxnと共同制作)
- Eight ※IU提供曲
Agust D '대취타' MVについて少しだけ -スタッフ陣についてのTMI-
え?感想ですか?
立ち直れないかと思いました。(ここは墓)
かっこよすぎて過去一ビジュアルが刺さりました。
これ以上深堀りするとMVについてだけで1万字強の感想文が爆誕しそうなので、絶対に内容には言及しませんが、どうか1回でいいので見てくださいね・・・。よろしくお願いします。
制作者情報についてちょこっとだけ紹介しておきます。
Credits:
Director: Yong Seok Choi (Lumpens)
Assistant Director: Jihye Yoon (Lumpens)
2nd AD: Soeyoung Park, Jongeun LeeProducer: Emma Sungeun Kim (GE Production)
Production manager: Min Sung Kim
Assistant Producer: Ju Young An
Assistant Production Manager: Ji Hoon HanDirector of Photography: Hyunwoo Nam (GDW)
Focus Puller: Sangwoo YunGaffer: Kyeong Seok Kim
…(中略)
Art Director: Jinsil park, Bona Kim (MuE)
Assistant Art Team: Yeri Kang, Seonghee Park
Art team Manager: Ilho Heo…(中略)
Performance Directing: Son Sung Deuk, Lee Ga Hun, Lee Byung Eun, Hyewon Park
Artist Management: Kim Shin Gyu, Ahn jong Hun, Lee Seung Byeong
おなじみLumpensはBTSのMVをはじめ様々なKPOPの映像作品にかかわる制作会社。Yong Seok Choi氏はBTSのMVおなじみのディレクターです。
▽LumpensのMV作品リスト
http://lumpens.com/tag/music-video/?ckattempt=1
GE ProductionのEmma Sungeun Kim氏は、「Spring Day」や「Highlight Reel」MVのプロデューサーでもあります。
フォトグラファーは、これまたBTS作品でお馴染みの映像制作会社 GDWのHyunWoo NAM氏。
ちなみにMVのBehind Cut写真はこちら。
▽HyunWoo NAM氏インスタグラム
https://www.instagram.com/gdwdop/
▽GDW公式サイト
https://gdw.kr/
▽GDWインスタグラム
https://www.instagram.com/gdw_official/
アートディレクターはMU:Eが担当。
▽MU:E (무이)インスタグラム
https://www.instagram.com/mue.artwork/?hl=ja
▽MU:E言及記事
そしてパフォーマンスディレクションは、ファンもおなじみBTSの振付師、ソンドゥク先生。
▽ソンドゥク先生のインスタグラム投稿
要するに外すわけがない最強の布陣だったということですね。
ミックステープのMVとは思えない予算…豪華なスタッフ……とても良かったです………。
Agust D 各所インタビュー/レビュー
資料として。気になる箇所を抜き出しています。
iTunesスタッフメモ
「このミックステープは28歳の僕自身の記録だ」と彼は語る。「これは自宅隔離中の時間が生み出したもの。ある意味、自宅隔離は創作活動における希望の兆しだった。それは、僕が"due to(~のせいで、~が原因で)"というフレーズの意味をあらためて学べた時間だったよ」
世界は今、厳しい状況に置かれているが、Agust DことSUGAことMin Yoon-giが世に送り出したかったエネルギーは明確だ。「安らぎだよ」と彼は語る。「ほぼ、僕は緊張がほぐれた。それは悪い気分じゃない」
Time:BTS's Suga Reflects on His New Solo Mixtape as Agust D on D-2
Agust Dの人格について
“I can show a more raw side to myself,” he explains of his Agust D persona. And of his goal: “It’s more that I made the music I wanted to make, rather than fixating on attempting something new.”
Agust Dと「BTSのSUGA」の違いについて
What’s the difference between Agust D the solo rapper and Suga the BTS member? What remains the same?
The difference is that there is a lot more that I can openly express and that I can show a more raw side to myself [with Agust D]. What’s similar is that both sing of dreams and hope.
プロデューサーとして今回新たに挑戦したことについて
Trap, hip-hop, rock, pop and R&B all appear on this mixtape, often in the same songs. This mixing of styles is a signature of BTS, and was present on your first mixtape as well. It’s also become normal across the global pop landscape. As a producer, how have you tried to innovate or try something new on this mixtape?
It’s more that I made the music I wanted to make, rather than fixating on attempting something new. I’m not too picky on genre or crossovers between them. What’s good is good, and it’s up to the listeners to judge. I just do what I want to do.
Billboard:BTS's Suga Reflects on Triumphant Return of Agust D on 'D-2' Mixtape
ミックステープを聞いたリスナーに受け取ってほしいものは?
From start to finish D-2 is an intensely emotional experience that shares both your thoughts about yourself and your thoughts on the world. What do you hope listeners take away from the overall experience of the mixtape?
“This is how I’ve lived since August 16th, 2016.” If the previous mixtape focused on telling the past, the new one is about the present.
音楽的なインスピレーションについて
Where did you find inspiration musically for this album?
The answer to this question is always the same: every moment and every incident. It’s a habit of mine to record and take notes, so sometimes, I get a pleasant surprise when I dig through and rediscover lyrics. Some of the lyrics I scribble without thought have, at times, become real precious.
SUGA、Agust D、そしてミン・ユンギの違いについて
Do you feel there’s a difference between Suga and Agust D, and also these two with Min Yoon Gi?
You could say there is and there isn’t [a difference]. “Me” and “Me” and “Me.” They are different and the same.
「D-2」で一番リスナーに考えてもらいたいフレーズ
What is a line or thought you share on D-2 you want listeners to be left thinking about?
“So what, if we live like that, so what
My distinction is your ordinary
My ordinary is your distinction” - “People”
あとがき
情緒も含めた曲の感想を形に残したのは初めてなので、なんだか気持ちがスウスウする。分析とか考察が何一つできなかったけれど、消費じゃなくて消化がしたかったので、これでよかったのかもしれない。
こんなにとんでもなく長いものをここまで読んでくださった方、いないかもだけど、いたら、本当にありがとうございました!
次はもうちょっと理性的で有益なおもしろいものを書きたいな・・・などと・・・。
精進します!
覚え書きとして、吐き出せる場があってよかった。読者の皆様方、そしてでこのんいつもありがとう。
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夜を徹して17,000字の限界感想文を生成してしまったスヤ