ATEEZ is coming back!!!
刹那的なきらめきと、痛いほど瑞々しく鮮やかな情動を閉じ込めたような、ZERO:FEVERシリーズ。
2021年9月13日に、ATEEZが織りなすストーリーの前日譚と言われている、FEVERシリーズ三部作の最後を締め括るミニアルバム「ZERO:FEVER Pt.3」がリリースされました!
「ZERO:FEVER Pt.3」は、夏の暑さが残りながらも、涼やかな風が吹き抜ける初秋を思わせる夏秋のアルバム。柔らかに美しくもどこか切ない音色で描かれた珠玉の音盤です。
今回は、そのレビュー&感想とともに、ATEEZの楽曲世界の魅力を…!お伝えできればと思い、久々に筆を取りました。
要は最高の音盤が出たから全世界聴いて!!!!!(泣)という紹介記事です。よろしくお願いします。
※本記事に添付してある音源リンク・その他外部リンクは、いずれも収益発生リンクではありません。
- パフォーマンスドル・コンセプトドル「ATEEZ」の根幹にあるもの
- ATEEZ「ZERO:FEVER, Pt.3」全曲レビュー&感想(前半3曲)
- 「ZERO:FEVER, Pt.3」概要解説
- 1. Eternal Sunshine
- 2. Feeling Like I Do
- 3. Deja Vu
- 中間報告:あと3曲のレビュー+FEVERシリーズとは何だったのか、という後半パートが出ます
パフォーマンスドル・コンセプトドル「ATEEZ」の根幹にあるもの
ATEEZ。
2018年デビューの8人組のボーイズグループです。
屈指のパフォーマンスドルとして名を馳せる彼らは、変幻自在かつ大胆不敵なパフォーマーで、観る人の心を鷲掴みにしてきました。
直近ではMnet主催の「KINGDOM : LEGENDARY WAR」で巨大なタコ(クラーケン)を倒し、銀行破りをやってのけ、ど迫力満点のパフォーマンスを披露したのは記憶に新しい出来事・・・。
コンセプトドルのイメージがある、という方も多いでしょうか。
HALA HALAという奇妙な曲名で音楽番組に殴り込んだ、黒ずくめの異様な姿を目にしたことがあるという方も多いはず。
軍服でカムバックしたWonderlandや赤ライダースが強烈なI'm the oneを知っているという方もいるのではないでしょうか?
「KINGDOM : LEGENDARY WAR」でもど迫力パフォーマンスのかたわら、ファン以外にはサッパリなモチーフや意味深な演出が続々と登場し、「?????????」とはてなマークを浮かべた方も多いと聞きます…。
とかく強烈な個性を持つパフォーマンス・コンセプトアイドルグループとして認識されがちなATEEZですが、その全てを支える根幹にあるのは、壮大かつ繊細な音楽観です。
三部作の最終章となるEP「ZERO:FEVER Pt.3」をリリースに際して、彼らの音楽的な側面を少しだけ紹介してみたいと思います。
ATEEZ「ZERO:FEVER, Pt.3」全曲レビュー&感想(前半3曲)
全曲の感想を書きました!と言っても、「ATEEZの音楽を聞いたことがない」「タイトル曲しか知らないかも・・・?」という人も楽しく音源を聴きながら読めるように、頑張って解説します。
歌詞に特化した文章はこれからたくさん上がる気がするので、音に特化した観点で紹介するよ!
★長くなりすぎたので前半と後半に分けました!!!!
[TIPS] これを知ってると楽しめる?!ATEEZのボーカル編成
独断と偏見に基づいて8人の声質をちょっとご紹介します。こんな編成でできているよ!という目安になれば幸いです。
かなり声質がバラエティに富んでおり、豊かな個性を持つATEEZ。きっと好きな声が見つかるはず!
【ATEEZのボーカル聞き分けのヒント】
◆ラッパー:2人
ホンジュン
→エッジの効いた高音ラップが印象的。ラップパートの前に「Hahaha」という笑い声が聞こえたらそこから先はホンジュンのパート。
ミンギ
→独特の低音ボイスで聴かせる破壊力抜群のラップ。ラップパートの前に「Fix on!」というシグネチャーサウンドが聞こえたらミンギのパート。
◆ボーカル:6人
〈深みのある低音ボイス〉
ヨサン
→クリアかつ低い不思議な響きのボイスが特徴的。温度が低め、かつ滑らかな質感の声が聞こえたらヨサンかも。
ソンファ
→深い響きの湿度ある声。曲によって色をかなり変えるので聞き分け最難関と言っても過言ではない・・・。たまにラップパートや高音パートを担うこともある。
〈クリアな中音域〉
ユノ
→クリアで甘い歌声が聞こえたらユノの可能性が高い。ただし低音パートから高音パート、難しいコーラスも卒なくこなす器用系ボーカルなので見失いがちでもある。
〈甘い高音ハスキーボイス〉
ウヨン
→甘くて高め、かつハスキーという稀有な声の持ち主。聴かせどころで効果的に登場することが多いかも。
〈高音域が映えるメインボーカルズ〉
サン
→サビ頭や歌い出しを担うことが多い、透き通った高音が美しい声。声の帯自体は細めなのに綺麗に抜ける声質をしている。
ジョンホ
→突き抜けるハイトーン。一番難しい歌い上げのパートは大体この人。泣く子も黙るメインボーカルとして君臨する末っ子。
「ZERO:FEVER, Pt.3」概要解説
「ZERO:FEVER, Pt.3」は6曲入りのミニアルバム。
ZERO:FEVERシリーズの最終作と言われており、これまで積み上げてきたストーリーの伏線が回収されるのか、次章はどう展開していくのかという点にも注目が集まっています。
ちなみに、1曲目と3曲目の両方がタイトル曲(ダブルタイトル)になっており、事前にファンや関係者、そして本人たちの投票により先行する活動曲を決めるという形式でした。※ATEEZ夏季のカムバック恒例のイベントです。
ダブルタイトルのコンセプトは「清涼 vs 官能」というとんでもない二極。
"永遠の陽光"に思いを馳せ、清涼感がありつつもどこか郷愁を誘う楽曲「Eternal Sunshine」と、"既視感"をテーマに、不穏で妖しく重厚感のある魅力を放つ「Deja Vu」。究極の選択を迫られたファンダムは、各所混乱に陥る様が見受けられました。
…といった楽しい(?)前哨戦がありつつ、ついにリリースされたミニアルバム。各曲のレビュー(という名の感想)をお送りします。
ぜひ!聴きながらお読みください!
1. Eternal Sunshine
爽やかなスタート…と思いきや3回の超展開に腰を抜かす。FEVERシリーズの終わりの始まりにふさわしい曲
THE EDEN節とも言える冒頭の透明感のあるシンセサイザーの音が、印象的なスタートを切ります。
この曲はおそらく、メインプロデューサーEDENが最も得意とする音世界なのではないでしょうか。
BTOBの「그리워하다(Missing You)」「Only one for me」、Heizeとのコラボ曲「Heaven」を思わせる雰囲気の曲です。
超展開①:シティポップテイストへの導入
インディポップ・シンセポップジャンルを思わせる印象的なリフレインが続くイントロ、そこからミンギのラップ(シンギングパート)と爽やかな展開が続きます。
ですがその後。ミンギのラップパート後半でいきなりベースがブゥンとスライドし一気にブースト!!
えっ待て
これは…!!シティポップだ!!!!!!
ファンキーなベースラインが展開され、一気に曲が色を帯びてダンサブルな展開に。少しシティポップ的な音作りに変わっていきます。
「シティポップ」は、大瀧詠一や山下達郎、竹内まりやに代表される1970年代後半〜1980年代に日本で流行していたジャンルです。ファンクやモータウン、R&Bから影響を受けていて、都会的かつ踊りたくなるようなうねるグルーヴを備えた音楽。韓国はもちろん、アメリカなど海外で再発見されていて、音楽ファンから一定の人気を誇るサウンドです。
Eternal Sunshineのメインバース(いわゆるサビ)の雰囲気はこのシティポップテイストと言える展開に。太めでうねるベース!!!キメ*でキラッと光る星のようなストリングス(バイオリンなどの弦楽器の音)によって、疾走感とともに洗練されたグルーヴを感じさせます。
[*キメ…曲中で一瞬ストップしたり、次の展開に行く前にちょっと突っ込むようなフレーズのこと]
なんという勝利の掛け算!!!!ATEEZの隠れた性質「清涼感」とグルーヴのあるダンサブルな魅力を両立させる音です。
↑強パフォーマンスドルの側面が取り沙汰されがちなATEEZには「清涼」というもう一つの側面があります。
曲自体の速さ(BPM)と体感的速さのマジック
ところでこの曲、疾走感はあるのに実は曲のテンポ自体は早くないことに気が付いたでしょうか?
そうなんです。ファンキーで踊れるベースの音と、拍あたまでつっこむストリングスの効果で、駆け抜けるような爽快感がありつつも、曲自体は急いでいないんです。
シティポップの特徴の一つでもありますが、楽しくて爽やかな音像の中にキュッと胸が詰まるようなときめきや切なさがあるのは、このテンポのギャップがちょっとした仕掛けになっています。
高速道路を走り抜けるような爽やかさと、その駆け巡る中に大事なものを置き忘れたような、ちょっとした切なさや、この瞬間が終わってほしくないという焦燥。
Eternal Sunshine −永遠の陽光に思いを馳せる曲として心を掴む音楽は、歌詞だけでなくその音像やジャンル自体にも意味があるのでは・・・という余談でした。
超展開②:ホンジュンラップパート
さて。心地よいリズムと音に浸っていると続くホンジュンラップパート。
待て(2回目)
この音は何!?!??!
ここでこんな音を持ってくるのはずるい。ここで一回気が狂う
レトロゲームみたいなシンセベースの音、聴きました!?!?!?
いきなり音楽の色を変える異色な音とフレーズ。これをPreviewで伏せていたことに、心の底から「してやられた!!!!!」と思いました。
今まで潤沢に鳴っていた音を、ホンジュンのシグニチャーサウンド(Hahaha!という笑い声)が引き立つように一度全部引いて、無音のブレイクを作るんです。そうやってATEEZのキャプテン・ホンジュンの独壇場として一気に引き込む構成。
その大胆な引き算で曲の雰囲気をガラッと変えつつ、グッとさらにもう一歩奥へ引き込む手法の鮮やかさが怖い!!(泣)助けてください。
そこから織り込まれるキメのストリングス。時折「キラッ☆!」と星が飛び散るような弦楽器の音がしませんか?それです。
超展開③:まさかのメンバーによるラップパート
そして1番とは全く別の音展開で怒涛のメインバース(2サビ)へ。
待て(3回目)
パフォーマンスを見た方はひっくり返ったかと思いますが、ここでボーカルパート(のはず)のカン・ヨサンとパク・ソンファによるガヤラップパート!!!!※この二人は本来ボーカルパート
3つ目の超展開です。パフォーマンスの視覚的な楽しさを、しっかり音楽的に用意してくれるヨクシEDEN先生・・・。
サウンド的には、1番2番とサビ前にやっていた布石パートを独立パートとして持ってきて、ラストに向けて一度音を引き算・整理するというお祭り効果がありました。
シティポップテイスト × 楽曲構成の妙が楽しい
シティポップおよびシンセポップというのは、メインのメロディラインや印象的なリフレイン(繰り返される楽器のメロディライン)が明白で、単純明快な構成の曲が多いですよね。シンプルで飽きのない構成のループが心地よい分、とにかく展開数の多いKPOPジャンルの曲を聴き慣れたリスナーには少々物足りなく感じるリスクのあるジャンルです。
(あ〜、そういう感じね!2番もラスサビも、了解!みたいな構成を掴みやすい曲になりがちなジャンルなのです。それが魅力でもありますが…)
そこで2番頭のラップパートにこの音。サビ前にこのお祭り展開。いきなりぶん殴られたような衝撃があります。この狙い尽くされた構成が怖い!!!!これがポップスのプロの手腕か・・・。
疾走感のあるベースラインと清涼感のあるシンセサイザーが織りなす、「青春」を中心のテーマに据えるFEVERシリーズの最終作を始めるに相応しい音像。
刹那に輝く光のようなストリングスの音。はやる気持ちと裏腹に、温かみのある拍感で包み込まれるような曲でもありました。
2. Feeling Like I Do
6曲入りEPで最初の重要拠点となる2曲目。ダブルタイトルをつなぐ特殊魔法曲
2曲目というのは、アルバム単位で音楽を聴くタイプのオタクにとっては、最も期待値が高まるポイントでもあります。1曲目で印象付けた方向性を後半に向けてどう展開していくかキーマンとなる曲。
清涼感抜群のスタートを切った「Eternal Sunshine」を受けて、2つ目の特濃激展開タイトル曲「Deja Vu」が3曲目に控える鬼門に位置する楽曲です。
それがこの音の豊かさ。助けて
どんな完成度の収録曲!??!?!?!?!?!
左右を行き来するシンセのリフレイン
これは絶対に一度「密閉性のあるイヤホン+静かな環境」でしっかり聞いてみてほしい曲です。
宇宙が・・・宇宙が広がってる・・・(泣)
このシンセサイザーは全人類が好きではないですか?!(言い過ぎ)
イントロからずっと水滴が落ちるようなフレーズでシンセサイザーが鳴っていますよね。滴り落ちる雨粒のようなリフレイン(繰り返しのフレーズ)が心に残ります。
この、リフレインが!微妙に左右に行き来しているのがわかりますか?!!!イヤホンで聴くと、フレーズの始まりから終わりまで、コロコロと音が左右を行き来するように鳴っているんです。
それが閉じ込められた時の中のような、この曲独特の印象を演出している気がします。
アルバムプレビューでも、閉じた時の中で映画を見ているかのような仕草の8人がいましたが、この曲がどこか懐かしい思い出を感じさせるのは、印象的に鳴り続けている繰り返しのフレーズによる効果もあると思います。
タイトな音作り×後方への音の広がりが凄い
Feeling Like I Doは、Eternal Sunshineと比較するとコンパクトな構成です。そして音作りが少しタイト。
ボーカルの声の輪郭が少しくっきりしているのがわかるでしょうか?はっきりした輪郭の音が多いのです。
声にリバーヴ*がかかっていて、残響する音が多くロマンチックさもあったEternal Sunshineとは少し趣が異なっています。
[リバーヴ*…エコーのような残響のエフェクトのこと。カラオケでエコーをかけるときのアレです。]
一つ一つの音がタイトである分、空間に溶ける種類の音(=空間系シンセサイザー)が効果的に使われているのがFeeling Like I Doの特徴。ボーカルの後ろで鳴るシンセサイザーの音が空間に溶けて、後ろの方の空間に広がりを作っています。
イヤホンで聞いていると"後ろにトンネルがあって、水が滴る音が反響している..."みたいな感覚になりませんか?ちょっと後ろを振り返った時に、風が吹き抜ける感じ。
Eternal Sunshineの疾走感を受けてのこの音作りは、駆け抜けてきた道程を自分の後ろに感じさせるような演出に感じます。
清涼感のある音像と相反する重たい低音
清涼感のあるシンセサイザー、温かみのあるメロディラインとは別で、ベースがかなり重たいのもこの曲の特徴。
ビート・ベースの音作りがかなりしっかりしています。ズゥン…と体に響くタイプの低音です。ベースラインがかなりグルーヴィで、旋律が耳で追える作りだった「Eternal Sunshine」とは違って、かなり重たい。
これが次の曲、「Deja Vu」への布石になっていることが次曲を聴くとわかります。計算されてる・・・嫌・・・(嫌じゃないです、大好き。)
この低音楽器と上物(シンセサイザーやボーカル)の音域の棲み分け方と、印象のづけ方が絶妙で最高です!
音の鳴っている世界が縦(上下)にも前後にも広いのに、なぜか同じところをぐるぐる回っているような感覚にも陥る曲。前に進んでいく図があまり見えないのです。(個人の感想)
なにこの曲・・・。こんな魔境の2曲目があっていいの・・・?
3. Deja Vu
ついにZERO:FEVERシリーズの核心へ。秘匿された謎の数々を内包する変態曲
さて、この曲。
・・・・・・お前が王だよ。王だ。わかった、もうわかったから!!!
と頭を掻きむしりたくなる完成度のタイトル曲。メインプロデューサーのEDEN氏が、本アルバムの曲について「難産だったが出来に満足している」というようなことを発言しておられましたが、この曲のことなのではないか?と予測しています。
この曲がEPの中でいわゆる「主人公」的な立ち位置ですね。気合いが入りすぎていることが音の全てからわかります。天才と変態は紙一重とよく言いますが…。
さて、何から話せばいいんだ・・・。何もわからない・・・・・・・。
バリエーション豊かなパーカッションとド重たい低音
まず印象的なのが、チャカポコチャカポコと鳴り続ける硬質なパーカッションでしょうか。この曲「Deja Vu」は、これらのパーカッションとビートで構成されるリズムパートが音楽をリードしています。
その上に交わる和音の楽器が、リズムパートと入れ替わり立ち替わり交差しながら曲が進んでいくので、いい感じに頭が混乱して狂っていくのです。
KPOPでは、ビート以外にリズム楽器がメインで登場して曲をリードしていく、という楽器構成の曲は少なめですよね。ラップをしたりダンスをしたりする上で雑念というか、意識をやる拍が多くなってしまうからでしょうか。
パーカッションが印象的な曲ももちろんありますが、軽やかな音作りのものや南米音楽など、軽やかさありきなものが多い気がします。このパーカッションにド級の重たい重たいベースとビート、そしてさらに重たい作りの和音楽器が乗っかっているという構成が変態です。まじで無理助けて
ベードラと別でパーカッションで物語を作っているのが、頭がおかしくなりそうになる・・・。
そして、歌詞をちょっと見てください。
夢で夢を見たようだ
僕の体に戦慄が 君を
記憶しているようだ
I know you get Deja Vu狂っていく
君と目が合った瞬間
止められないよ 僕は
果てしない渇きを感じる
Know you get Deja Vu
この音像でこの歌詞です。何の悪夢??
変態のオルガン、そして変態のシンセブラス
さて、パーカッションが印象的と言ったわけですが、もう一つこの曲には大きな特徴がありますよね。
オルガン。
この音像でオルガン入れる?入れますか?
「KINGDOM」で散々やってきた、自曲とクラシック音楽の融合のエッセンスを感じる和音作りが印象的です。
メインバース(サビ)前のこのオルガン、なんとなくあれを思い出しません?「パイレーツ・オブ・カリビアン2」で海の悪魔、デイヴィ・ジョーンズが奏でる深海のパイプオルガン・・・・・・。
[※ATEEZはデビュー曲が「海賊王」。海賊・航海・隠された宝(Treasure)、地図などをコンセプトの軸に据えて一貫したストーリーを提供してきたので、このように"海賊"エッセンス探しに敏感になっているファンが多くいます。]
もう一つ印象的な音がシンセブラス。
ブラス(管楽器)を硬質にして、ちょっとビリビリさせたような低めのブワ・ブワ!という音が鳴っているのがわかるでしょうか。イントロでパーカッションと一緒に鳴っている音ですね。この音・・・、この音も海賊なんですよね・・・。
不穏な騒々しさを演出していて、Deja Vuの不穏さやアウトローな印象を演出しています。
旋律を担うのは人間の声だけ
そして、このシンセブラスとオルガンが、メロディラインを担うわけではないのがこの曲の怖いところ!!!
確かに2つとも音程のある楽器なのに、音程として使われていないのが怖いです。どちらもアクセントのように短い音で挿入されていて、パーカッションと交差していく、非常に有機的なトラックになっています。
例えば、「Eternal Sunshine」や「Feeling Like I Do」は、歌の旋律だけでなく、楽器の旋律も含めて鼻歌ができると思います。
「Deja Vu」はどうでしょう?
鼻歌を歌ってみると、それ、全部人の声の部分じゃないですか?(怖)
メロディを担っているのは、人間の声。ボーカルのメインの旋律と、重層的なコーラスが全面的にこの曲の旋律を担っており、楽器ではないんです。
何・・・?どうして・・・怖い・・・。(なんでも怖い人?)
足し算足し算足し算、そして全力の引き算
足し算、足し算、そして足し算・・・のような印象のある曲ですが、ブリッジパート(2:13〜)で抒情的に盛り上がった後、全力の引き算が行われます。ここで私は胃がヒュッとねじれました。
2番終わりから、だんだんとバックに流れるおしまいのストリングス(弦楽器)。歌い上げるユノ→ソンファ→ジョンホのパートから、今まで楽器が担うことがなかったメロディラインを一手に担うピアノ!!!!!!!!(鳥肌)
MVで言うと星座が走馬灯のように駆け巡るあそこです。怖すぎる。
ここのパートだけ、ストリングスとピアノが旋律なんですよね。そして、人間の声のパートはホンジュンとミンギの独白・叫びのようなラップ。今までボーカルとコーラスの旋律で進んできた世界が、ピアノ&ストリングスのメロディと交差してひっくり返るわけです。
そして一気に怒涛の足し算へ!!!コーラスが重層的に畳み掛け、終末へ向かいます。
余談:前作のタイトル曲との構成の類似
コンセプトフォトがリリースされた時に、「Deja Vu」の世界観モチーフとして使われた「水」。
びしょ濡れで水に浸かる8人の男たちが「官能」をテーマに織りなすタイトル曲を出すという何とも内容過多な事前情報が公式から出されたわけですが、その「水」というモチーフから、「火」がメインモチーフだった前作「I'm The One」を想起したファンも多くいました。
↑「火遊びだ」という歌詞のサビ、燃え盛る木、打ち上げられる花火などとにかく過激で熱いカムバだった「I'm The One」。
Twitterで相互のフォロワーさんが発見しており、マッシュアップまで作成していたのですが(※現在削除済み)・・・。
この「I'm The One」と「Deja Vu」はその相反する概念だけでなく、楽曲の進行構成が酷似している対のような曲になっています。細かい検証はここでは割愛しますが、構成を注意して聴くと、まるでデカルコマニーみたいになっていて・・・。
双子曲だったらどうしよう・・・・・・・・・。
よかったら一度聞いてみてください。
EDENの所業、天才、許すまじ
中間報告:あと3曲のレビュー+FEVERシリーズとは何だったのか、という後半パートが出ます
ここまででものすごい文字数になってしまったので、さすがに前半と後半に分けることにしました。実は前半は興奮と高笑いとともに聴けたのですが、後半の方が心に突き刺さって抜けない曲が多く前途多難です。
心折れず、早急に完成させるぞ!
余談ですがアルバムプレビューが出たときに限界で書き殴った全曲メモを置いていきます。
たすけてください https://t.co/NtcgN2Nnud pic.twitter.com/aLmyRh4gr4
— 灰 (@medianaranja_8) September 10, 2021
ここまで読んでくださってありがとうございました。
後半でまたお会いできたら嬉しいです!
Written by.
スヤ