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3人の限界Kドルオタによるあれこれ

【でこ】約束は毒か薬か〜防弾少年団・ジミンの誕生日に寄せて

ジミンさん、お誕生日おめでとうございます!!!

 

こんばんは、でこです。

ジミンペンとしてBTSファン道、Kドルオタ道を歩み始めてから迎える2回目のセンイル。いつも惜しげも無く周りへの愛を振りまく貴方が、今日は溢れんばかりの愛に包まれることをひっそりと願っております。

 

今日はそんなジミンさんのお誕生日に寄せて、昨年末に発表されたソロ曲약속<約束>』について少し思いを馳せてみようかと思います。

 

soundcloud.com

 

 

楽曲について

ダンスを捨てた裸のジミン

驚いた、っていうのが一番最初の感想でした。誤解を恐れずに言えば、Kポップアイドルのソロ曲を聴いてるのか疑わしくなるくらい、いちアーティストとの音源として仕上がっている楽曲…

何も前情報なしに再生して、まず驚いたのが「アコギ一本」だったこと。

これまでのジミンのオリジナルソロ曲といえば、WINGSのコンセプトを体現するかのごとく表現力の鬼と化したLie

Lie

Lie

  • provided courtesy of iTunes

 

そして、対極的にやわらかく繊細な楽曲のSerendipity

Serendipity

Serendipity

  • provided courtesy of iTunes

 

いずれも、メインボーカルであると同時にメインダンサーであるジミンの表現力をいかんなく発揮できるような、パフォーマンスを念頭に置いた楽曲でした。

彼のダンスって「憑依型」。本人が持つ身体能力を活かしつつも、楽曲の主人公になりきって、或いは楽曲そのものを自らに憑依させて、自らが芸術作品に「なる」という印象。モダンダンサーならではですよね(詳しくないけど)。この辺りは他のメインダンサーであるj-hope・JUNG KOOKには無い側面かと思います。二人のソロパフォーマンスは、どちらかというと本人ありきの楽曲だったり、楽曲を本人に引き寄せたりしているイメージ。

憑依型パフォーマーのジミンが「パク・ジミン」を出すためには、ダンスを封印することが必要不可欠だったと考えます。それも、小細工の聞かないアコギ一本の楽曲で。

武装を捨てたジミンの裸の声はここまで魅力的だったのか、と気づかされました。 

 

無意識化のペルソナ

ではストレートに歌っているだけなのか?というとそうではない。

誰しもが初聴時「ジミンの声じゃないみたいだ」と驚いたかと思います。空気をたっぷり含ませて、少しのどに引っ掛けながら歌う、性別を感じさせない中性的な発声Kellin Quinn (Sleeping With Sirens)や、Predawnを想起させます。

Scene One - James Dean & Audrey Hepburn

Scene One - James Dean & Audrey Hepburn

  • Sleeping With Sirens
  • ハードロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes
Tunnel Light

Tunnel Light

  • provided courtesy of iTunes

 

少し前にSpotifyで公開していたジミンのプレイリストを見るに、表現方法はこの辺りからインスパイアされたかな?と思い当りました。

open.spotify.com

中でも、アウレック・ベンジャミンはジミンが休暇中にコンサートに行っていたと話題になりましたね。出典すや(ありがとう)

danmee.jp

きっと憑依型のジミンのことだから、「アコギ一本に合わせるべき声」を表現しているのかなと考えました。テクニックがあるからこそ、恐らく無意識レベルで曲に自らが歩み寄っている。彼の操るペルソナの向こうが見えるようで見えない、そんなもどかしささえあります。

 

発音フェチの独り言

上記、「洋楽女性アーティストを想起させる」要因のひとつとして、独特な発声・発音が上げられると思います。日々いろんな曲の細かすぎる発音を聞き取ってはあれが好きこれが好きと呟いているのですが、以下にこの曲のポイントを少しだけまとめてみました。

 

語尾の息の抜き方、音の処理の仕方

少し余韻を残す歌い方がエモい、最小限の伴奏だからこそ生きる些細な息遣い、シンプルにすき、、、BTSボーカリスト、特にマンネラインの3人は息を含ませて空間系に広げる歌い方がとても上手だね。。。。。

※ジンくんはどちらかというとしっかり喉とお腹で支えるはっきり発声タイプ、だからこそEpiphanyのラストとかはガツンと音が抜けてくるのでそれはそれで必要不可欠なボーカリストです!!

Epiphany

Epiphany

  • provided courtesy of iTunes

 

歌い出しで喉に引っ掛ける「しゃくり」(=エッジボイス)

1A「언제부터(オンジェプト)」やBメロ「I just wanna blow your mind」などの母音から歌いだす節や、ラスサビ「솔직할 수 있게(ソルジカル ス イッケ)」などのキメとなるフレーズの頭であえて始めからまっすぐ声を当てにいかず、喉を鳴らすような歌い方を使いこなすジミンさん、、、とっても中性的、、、

(追記)この歌い方、エッジボイスというらしい。代表例はブリトニー・スピアーズだと。すごい。

 

Oh, Ohの発声

ラスサビ後の「이젠 내게 약속해요(イジェン ネゲ ヤクッソケヨ)〜」から入るOh, Ohの発声、普段のジミンさんは発声のポイントを上顎全体に当ててることが多いんですけど、ここではもう少し口蓋の奥(粘膜があるあたり)にたっぷり息を通す感じで丸い発声をしてますね…

メンバー4人の発声についてああだこうだ言ってたついよ↓

この歌い方してるの、少なくともBTSグループ曲では聞いたことないかも。めちゃくちゃ好き、洋楽っぽく聞こえる一番のポイントが多分ここ

 

歌詞について

一人座り込んで 考えだけが大きくなっていく

いつから君は僕を傷つけていったんだろうか 君さえも分からないじゃないか

 

君も辛いでしょ だって君は僕のものだから 僕はただ君の心を奪いたいんだ

こうして君はまた遠ざかっていくけど

なんともないよ そう言うけど

実は僕がそうじゃないみたいだ

 

君には君の光になってほしい 君は光になるんだよ

これ以上 辛くないように 君が笑えるように

君には君の夜になってほしい 君は夜になれるはずだよ

この夜が君に 正直になれるように

 

これからは僕に約束してよ 一日に何度も

 一人だと感じても 君を見捨てないで

ここで少しの間 立ち止まって 指切りをして

今 僕に約束してよ

引用元:https://ameblo.jp/petit-9/entry-12432900295.html

 

I want you to be your light、I want you to be your night

light/nightの対義語で韻を踏むのは恐らく珍しいものではないですがあえて取り上げます。明暗の対比・二面性=ジミンという人間そのもの、という気がするんですよね。ステージの上で曲ごとにガラリと雰囲気を変える「憑依」はもちろん、バラエティでは負けず嫌いだけど不憫に思えてしょうがなかったり、あざと可愛い愛嬌を見せたりするアイドル・ジミンちゃん。そして、練習熱心で周りの人を慈しむ心を持つ、本当はとてもデリケートなパク・ジミンさん。

先ほど楽曲の項でも触れましたが、この曲はジミンそのものを表現するために書かれたと思っています。歌詞の中でも、表舞台に出る「光」の部分と自分の内面である「夜」の部分を示唆したのかなと想像しました。ソースはない。すいません。

 

静かな訴え

ジミンさん、もし恋人がいたとしたら、あるいはそれ以外の特別な人に対しても、きっと不安で不安で無意識に束縛するタイプ(急)(失礼)

多分それは自分に対しても同じで、「自分はこうあるべき」という高い理想に自らを縛りつけようとする。だからこそ、歌詞の中でも静かに、でも切実に、訴えているんだと思っています。

これからは僕に約束してよ 一日に何度も

一人だと感じても 君を見捨てないで

ここで少しの間 立ち止まって 指切りをして

今 僕に約束してよ

 

ジミンの「約束」

Vライブのビハインド

楽曲が公開されたのは2018年12月31日。「成功者」としての地位を確立し、新たな苦しみと葛藤することとなった年の暮れに、ふと投稿された「今年最後のプレゼント」でした。少し恥ずかしそうに投稿するジミンの文面に、全ファンが心を打たれたその時を今でも覚えています。

年が明けてほどない2019年1月19日、ジミンはこの曲に込めた想いをファンの前で明かしました。Vライブの大まかな内容はこちらをご参照ください。

danmee.jp

楽曲・歌詞の項にて上述した通り、曲の中での「君」=ジミン本人ということが明かされました。

 

他者依存なセルフコンフィデンス

このブログを読んでくださっている方なら恐らくご存知かとは思いますが、ジミンは他者に手向ける愛の量がとにかく多い。アミバカ」とも称されるファンダム愛はもちろん、メンバーへの愛、スタッフへの愛、周りの人々への愛をいつも惜しみなく表現しています。

でもそれって、自分に対する自信のなさの裏返しのような気がしてやまないんです。

 

自らを縛る「毒」

ジミンは自身の性格を「優柔不断で正直になれない部分がある」と表現し、こういった自分の性格をコンプレックスに感じたことがきっかけで今回の曲を作り始めたと語りました。

しかし、メンバーや友達との会話を重ねるごとに、そしてコンサートを行う中でジミンは「僕が自分自身を辛くさせないように、自分の悪口を言わないように約束しよう」という考えを持ち始めたのだとか。

 

2018年〜2019年にかけて行われた「LOVE YOURSELF」ツアーの中で、BTSメンバーは「自分を愛することについて考えた」と口々に話していました。その中でも、恐らく一番答えを見つけるのに苦しんだのがジミンだったのではないかと思います。

Vライブで本人の口から話されたように、ジミンは自分自身のことをどこか不安定な存在だと自覚しています。今までは、その不安定さを覆い隠すように、誤解を恐れずに言えばさも見返りを求めるかのごとく、必死で周りに愛を振りまいていました。そこに降ってきた「自らを愛する」というコンセプトをきっかけに、自分を愛するための第一歩として「自分の悪口を言わないように約束」したのだと考えます。

この約束、ファンの間では「ジミン成長したね!」とポジティブに捉えられていますが、私は少しの心配を抱いています。例えば自分が何かしらの大きなミスを犯してしまったとしたら、どんな人であれ多少なりとも自責の念を抱くかと思います。それがジミンであればなおさら。本来であれば、その反省をしっかりと認識して受け止め、次に向かって進んでいくことで自尊心が育まれるのでしょうが、「自分の悪口を言わない」ことで蓋をしてしまうと、自らの中で=葛藤を産んでしまいかねないと危惧しています。

たかがいちファンの妄想なので杞憂にすぎないことを願っておりますが。

 

自己承認という「薬」:ホソクがくれたCD

BTSの冠バラエティ『Run! BTS(走れ!バンタン)』にて、メンバー同士でお互いに秘密のプレゼントを準備する、というコーナーがありました。

★2019年8月20日配信・第85話

www.vlive.tv

 

自らの写真が入ったツアーグッズなどの面白おかしいプレゼントが続出する中、焦らしに焦らされたジミンのプレゼントを用意したのはホソク(J-HOPE)。ジミンとはずっとルームメイトの仲である彼が用意したプレゼントは、世界に7枚だけの『約束』お手製シングルCDでした。

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思いも寄らないサプライズプレゼントをもらったジミンは、今まで滅多に見たこともないくらいの感激した表情をあらわにしました。

自分の頑張ったものが形になった喜びはもちろんですが、自分自身と向き合う「葛藤」の曲でもあった『約束』を目に見える形で認めてもらえた、という実感が強かったのだと思います。他者から認められることでこんなにも自尊心を高められるジミン。一見危うい存在にも見えかねませんが、それ以上に「他者からの好意をまっすぐ受け止められる」ことは彼の紛れもない長所ではないでしょうか。

どうか、ゆっくりで良いので、「自分に悪口を言わない約束」から「自分の良いところを見つける約束」というに辿り着いて欲しいと願うばかりです。

 

【追記】

誕生日当日の今日、メンバーのTwitterには続々とジミンを祝う投稿が掲載されました。ホソクの上げた投稿には、『約束』CDのジャケットに用いた二人のツーショットセルカが。同室で、同じダンスメンバーで、他者の些細な心の動きを分かり合えるホソクが身近にいたからこそ、不安定な存在だったジミンがここまで歩んでこられたのかと思いを馳せました。

 

おわりに

冒頭部分に、SoundCloudの埋め込みリンクを貼ろうとしてURLを見たんですよ。そしたらスラッシュ以下のカスタムURL部分が"firstjiminpresent"になってて……どこまでも愛に溢れた貴方が心の底から愛おしいです。

どうか今日は目一杯の愛に包まれる日になりますように、そしてもらった愛で自分自身を愛せるジミンになりますように。これからもささやかながら応援しています。

 

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