こんばんは~でこです~!
NCT 127が2019年に発表したHighway To Heavenが好きすぎて、韓国語版と英語版をそれはもうめちゃくちゃはちゃめちゃ聞き込んでいたら、どうやらただ歌う言語を変えた以上の違いがあることが発覚しました・・・と書いた前編記事。
今回はそのつづき!ケーポ曲に元より多い「韓国語曲→日本語」パターンをはじめとして、最近増えている「→英語」「→中国語」、さらに「日本語曲→韓国語」などのパターンを比べながら、言語による発音・発声の特徴とミキシングの違いについてぼそぼそ語らせていただきます。
- まえがき(余談):Highway To Heavenのちょっといいとこ見てみたい
- その1:韓国語→英語
- その2:韓国語→日本語
- その3:日本語→韓国語
- なんと終わりませんでした ―今度こそ後編へつづく―
まえがき(余談):Highway To Heavenのちょっといいとこ見てみたい
本題に入る前に、、自分前編記事にて書き漏らしてしまったHighwayの好きポイント良いですか!?!?良いですね!?!?
ラップラインの合いの手の違い
前編をアップした直後書き漏らしに気づいた、韓国語版と英語版のもう一つの違い。
1回目のテーマが終わった後に入るテヨン・マークのラップパートでお互いが合いの手を入れているのですが、フレーズが一部違っていました。
英語版:
Pull upBaby you a bad girl, watch your mouthWhen I’m with you it’s a vibe, baby I can’t lieHit my line (line) anytime (time)Girl, I wanna make you mine (woo!), spend some time (time)Girl, I got your lovin’ on repeat (brra!)And I bet you never had it like this (woo)Real good loving, light up your wrist (wee)
Pull up네가 원하면 All over the world그게 어디든 우린 닿을 수 있어Now we fly (fly) to the sky (sky)원한다면 Make you high (woo) 따라와 (yeah)Look! Skrr처럼 바로 우린 직진 (skrrt skrrt)실수해도 돼 그저 Repeat (brra!)됄 때까지 부딪쳐봐 Like this한계는 없어 We limitless
NCT 127 Arena Tour 'NEO CITY: JAPAN -The Origin' 新潟で浴びたHighwayの記憶
前編記事を書き終えたその日、行ってきました。
NCT 127 Arena Tour 'NEO CITY: JAPAN -The Origin' 新潟公演へ!
期待に期待を膨らませたセットリスト、案の定含まれていました。Highway To Heaven。
記憶がないです
イントロのファーーーーーーーーーーーーーーーーーが流れた瞬間秒で限界を迎えてしまい大号泣、センターステージで生き生きと踊る彼らに脳みその処理が追いつかず顔をグジュグジュにしながら一緒に振り付けを踊るやばいシズニが爆誕してしまったのでした
音響も照明も映像も演出もよかった・・・多分ね・・・東京オーラスに行くので次こそは冷静に見届けたいんだけどまたぶっ壊れてしまうかもしれませんなんてったってオーラスなので。。どきどき。。
追記:日付が変わって今日になってしまった。。。どきどき。。。
その1:韓国語→英語
さてさて!いよいよ本題、K-popのインターナショナル展開に見えるミックスの違いについて触れていきます。まずはHighway To Heavenを筆頭とした、韓国語→英語パターンから検証してみます。
Play It Cool (MONSTA X)
K-popにめちゃくちゃ明るい、我らがSteve Aokiオッパをフューチャリングに迎えたMONSTA XのPlay It Coolです。韓国語バージョンは表題曲"Alligator"をひっさげたフルアルバム"TAKE.2 WE ARE HERE"に収録されました。
英語版は配信シングルとしてリリース。MVも作られています。エオキヒョンめちゃめちゃでてくるなこれ
Steve Aoki & Monsta X - Play It Cool (Official Video) [Ultra Music]
前回のHighway分析の際、下記のような仮説を立てました。
【韓国語版】
- 「グループアイドルの楽曲」が浸透しているため、ユニゾンやハモりなどの多重歌唱&いわゆる「キリングパート」はしっかりと聞かせる傾向
- 空気が抜けていく子音の発音が多いため、繊細なニュアンスでの歌唱を得意とする
【英語版】
- 母音の種類の多さ&ひとつの音符に乗せられる歌詞の多さ故に歌パートの情報量が多い
- ↑とのバランスを取るためトラックに使われる音色が多く、帯域もドンシャリ一辺倒ではなく中音域もしっかりと出す
これが他の楽曲だとどうだろうか?ということですね。曲頭から比較していきます。
Play It Cool 韓英聴き比べ
— でこ (@decoranger_neo) 2020年2月9日
・1番Aメロ、ディレイは韓国語版のほうが長い(空間埋めだろこれ)
・同ウォノパート、韓国語の方が空気含む子音が多いから一句一句がより切れて聞こえる=だから↑?
Aメロのジュホンパートからいきなり違いが。声にかけてあるエフェクト*1のタイム、韓国語版の方が長く取ってあります。いやまずジュホン歌うまくね?
その後に続くウォノパートの歌詞を比較するとその理由がわかりました。「空気を含ませる音」=音声学だと阻害音(破裂音/閉鎖音・摩擦音・破擦音)に該当する部分を赤字で書いてみます。
커튼 사이 저녁 도시
I move my feet She follow me
韓国語詞、ここの部分に関しては全ての区切りに空気の音が含まれます。つまりその分一句一句の切れ目がはっきり聞こえるので、その空間を埋めるためにエフェクトを長く伸ばしたのかと考えられます。
・1ばんBメロ、オクハモの下パート韓国語版の方が強い より複数の声が聞こえる そもそもトラックの中で英語より結構声が浮き出て聞こえる(英語だとミニョウォンのまろやかボーカルがより顕著なのが所以?)
— でこ (@decoranger_neo) 2020年2月9日
・IMキリング韓国語声ひっく
・韓国語はサビの音符の数が少ないから空間がうまりづらい
韓国語版はBメロの重唱をより聴かせていますね。凸はオクターブハモにとにかく弱いのでここはもうありがとうございましたというきもち
モネクのボーカルラインの皆様は、どちゃくそ歌うま音抜け大魔神キヒョンくんを筆頭に声質がかなり近くて、重なった時の滑らかなハーモニーがとても魅力的です。元々の声質に加えて、使い慣れない英語の発音が加わった結果ミニョク・ヒョンウォンの歌うBメロは英語版だと尚のことまろやかに聴こえるのかも。
一方でモネクのイングリッシュスピーカー・I.Mくんが歌うサビ前のキメ、英語版だと"There's something about you" 韓国語だと2番のみ"Don't think it too much"で歌詞が違うんですが、それ以上に声のトーンが全然違う。英語の方が高い。なんでだろうねこればっかりはチャンギュンのテンション以外の理由がわからん強いて言うならこれもHighwayと同様に英詞の方が強気ナムジャだからでしょうか。
・サビの韻の踏み方は英語に軍配、でも韓国語の方が太い発声できるから音の上がりを表現しやすい
— でこ (@decoranger_neo) 2020年2月9日
・韓国語間奏、エオキヒョンの声ちっちゃい?
・そもそもラップ
・ラップ明けサビのシンセ裏メロこれ英語版入ってる?入ってないねもったいね
サビの音数が多いのは、英語の方が沢山言葉を乗せなければならないので当然ですね。サビの頭の歌詞"Baby I like the way"が詰まっているので滑り出しの勢いは英語の方が強い。
でもって韻の踏み方、下記赤字部分をご覧ください。
순식간에 떠올라서 멀리 멀리 떠날 거야
우린 이제 지금부터 비행 mode
Baby I like the way that you keep moving 'round the place
And when you dancing in my face Oh I just play it cool
英語は3箇所綺麗に[ei]の母音を重ねているのに対して、韓国語は떠[c]*2が2回と지[i]の組み合わせ。英語はウェ〜イプレ〜イスフェ〜イスと平たいニュアンスの音ですが、韓国語の方がより前に出てくる母音を用いている分、音が上がる部分のメロディがはっきり耳に届きますね!
韓国語の発音記号についてはこちらを参考にしました。言語を問わず辞書には必ず書いてある発音記号、これが読めるようになると一気に言語の勉強が楽しくなります。私は大学で習ったんですがめちゃくちゃ勉強面白かった。
あとは韓国語版にしかないラップパートを経た後もう一度来るサビ、裏にシンセサイザーの和音が鳴ってるんですよ!この音他の部分、もっと言えば英語版だと鳴ってないんですよ!めちゃくちゃ細かい聴きどころです。
……とまあ大層な分量で語ってしまいましたが序盤に挙げた仮説は概ね間違っていなさそうで一安心しました。
その2:韓国語→日本語
なんとまだその2なんです。ここからはサクサクいきます!!!!!!続いては例を挙げたらキリのない韓国語原曲→日本語のパターン。いわゆる「イル活曲」として賛否両論ありますが、歌詞以外の差はあるのでしょうか。
Gee (少女時代)
K-Pop第二世代の名曲、少女時代のGee。当時リアタイで追っていた皆様、同世代ですね!改めて聴くとアイドルソングのお手本…泣きそう…
日本語版が出た際、10代そこらの学生の分際でこれはどうなんだ、、、、? と思ってしまった記憶があります。当時の日本語バージョンがやたら「〜〜セヨ」とか韓国語風のフレーズを使おうとする感じ、今思えば翻訳家さんも頑張ってたんだろうな…と思いつつ、なんだか腑に落ちない気持ちが喉まで出かかっていました。
このブログに作詞秘話書いてありました。前例のない中大変だったんだろうなあとは思う。
本題のミックス聴き比べ、思ったより大きな差はありませんでした。強いて言うなら、日本語版の方がコンプレッサーをかけたかのように全体が均一化されているような印象を受けます。サビ頭のブレイク明けに入る「カーーン!」の音量が、韓国語版の方が大きく入っているのでより気持ち良さが増す感じ。
というのも、今から10年ほど前のK-popは、アメリカのEDMやポップスの流れを汲む現在とは異なり、まだJ-popが素地にあったと言われています。そのためミックスの傾向が似通っているのだと推測。
TT (TWICE)
では最近の曲だとどうでしょうか、ということで取り上げるのは日本でも大きなブームを巻き起こしたTWICEのヒット曲・TT!
この日本語版ミックスいいな!!!(唐突な気づき)
こればかりは、日本語歌詞の音符(=情報量)の少なさが良い意味に作用している曲な気がします。原曲にも日本語版にもおもちゃみたいな電子音やパーカッシヴな効果音、細かなストリングス等の遊び要素が入っているんですが、より隙間の空いている日本語版の方がその効果音が耳に留まります。
逆に、日本ミックスの特徴として「テレビやラジオで視聴されることを前提とした帯域の振り分け方」があります。つまりはボーカル命。次いで低音が上がる、いわゆるドンシャリ。これがね〜〜〜〜上手くハマる曲とてんでダメな曲があるんですよね〜〜〜〜!
良い音の環境で聴くとテンションの上がる、例えばYGサウンドのように重低音の勢いを持たせつつ中音域を聞かせる曲は日本ミックスになると一気に色あせて聞こえてしまいます。。一方でこの TTは、確かに日本語版だと全体の圧がまるで削がれてしまっているものの、ボーカルの帯域に近い音が上手くばらけて構成されているため耳馴染みの良い仕上がりとなっていますね!
BTS
普段聴き慣れているBTSも比べてみたらどうだろうか?ということで軽く検証しましたツイート貼っただけですがすみません!
Run
なんかズンズンしてる https://t.co/l2ZgcGV6zv— でこ (@decoranger_neo) 2019年12月11日
やっぱあんまズンズンしてない https://t.co/noRjDH39iI
— でこ (@decoranger_neo) 2019年12月12日
Runは最近のBTSにはあまりないバンドサウンドを基調とした楽曲ですね。「Jロック」という言葉がある通り、日本は古くからバンド文化が広く浸透していることもあって、こういう曲調だとより疾走感を際立たせたミックスになる傾向があります。
韓国のインディロックシーンも近年盛り上がりまくっています。詳しくはこちら
Boy With Luv
全ての音節に母音がつく「歌う言語」の日本語だからこういうテイストの曲は予想外に合うのかもしれない、ただただ近年の防弾JPチームが優秀なだけかもしれないけど…その分日本語ラップはファイティンという気持ち、主にシュ(こら) 世の秩序〜^♡^— でこ (@decoranger_neo) 2019年12月12日
シュッガの発音って子音!!子音!!パッチム!!の印象が強いから日本語ラップになると不自然になる部分があるのかもしれない 逆にホビは元から節回しのついたラップが上手いから日本語になっても違和感が少ないのかも、元々耳がいいのもあるんだろうけど
— でこ (@decoranger_neo) 2019年12月12日
「今ならそうわかるんだ」が圧倒的に右耳 パン振りがち
— でこ (@decoranger_neo) 2019年12月12日
・サビ前のタンバリン
— でこ (@decoranger_neo) 2019年12月12日
・ストリングスはいたわ 他の音の方が主張つよいけど
https://t.co/fGFXTC9pEp
ホビの日本語、耳がいいからメンバー内随一のクリアさなんですけど、その結果歌詞がめちゃくちゃ耳に入ってきてちょっと面白い世の秩序〜^♡^
Alligator (MONSTA X)
日本語になると思いもよらない変化をする曲も。
その1で紹介したモネクのアルバムに収録されているAlligator、日本語版はかなりサビの歌詞割りが独特です。
アリゲラの日本語バージョンはサビのキヒョンとウォノがめちゃくちゃエモく歌ってるから結構好きですラップ大変そうだけど https://t.co/paWfzGpDjl
— でこ (@decoranger_neo) 2019年12月17日
韓国語と音符の数は一緒のはずなのにめちゃくちゃ早口に聞こえる。これ日本語ネイティブでも歌うの結構しんどいレベルですよね?形になってるキヒョンウォノ本当にすごいね…
でもやっぱり早口なことに変わりはない+日本語は全ての音に母音が含まれる(=パッチムに当たる部分が存在しない) ため、一拍ごとの音符の数を原曲に揃えた結果(※下記参照)処理しなければならない音数が増えるんです。
이 (1) / 모든 게 (3) / 내 뜻대로 (4) / 다 이뤄져 (4)
작정하면 (4) / 절대 (2) /놓지 않아 (4) / Alligator
い (1) / ちどね (3) / らったなら (4) / はなさない (5)
やさしい (4) / きばでう (4) / ばうから (4) / Alligator
普段のこなれ感が無く歌うのに必死だからか、特に生歌だと口を回すのに必死でボーカルが抑えめになるのがまあエモいんですよ!!!日本語バージョンも案外捨てたもんじゃない。
ここからもわかる通り、日本語の言語としての最大の特徴は「全ての音節に母音が含まれる"歌う言語"」だということ。決められた歌割りの枠に歌詞を収めるにあたって、韓国語以上に情報量の制約が強いです。一定の時間数に含めることのできる情報量は、英語に比べてわずか68%に留まるらしい。
こちらの記事で非常に細かく、歌唱における英語と日本語の差を分析しています。
「日本語は"歌う言語"」と書いたのは、何も歌うことに適した言語という訳ではなくむしろ向いてないわ、「単語の中に抑揚(音程の高低差)」があるということ。 そのため、日本語曲の歌詞を考えるときは、曲のメロディーの高低差と違和感がないように言葉を選ぶと言われています。さらに韓国語の原曲があるとなると、元々の歌詞の世界観も含めなければならない…となると日本語版の歌詞考えるのって相当大変なんでしょうね、、、、、
その3:日本語→韓国語
続いては近年増えてきた日本語原曲→韓国語の逆輸入パターン。元々の歌割が日本語に合わせて作られているので、ネイティブ発音のはずの韓国語版に若干違和感を覚えることもあったりなかったり(ないんかい)
HAPPY ENDING (SEVENTEEN)
SEVENTEENの日本オリジナルシングル第1弾としてリリースされた、Happy Ending。実はこの記事を書こうと思ったきっかけが、Twitter上で「ハピエンの日韓バージョン全然違うマジヤバイ(意訳)」というツイを見かけたことでした。どんなもんよと思って聴いてみたのがこれ。
うおおおおお!!!!!!全然ちげえよ!!!!!!!!しかも原曲聴きながら韓国だったらこうだろうな〜って想像した通りにちげえよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!うおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! https://t.co/sPJ7n9d6wv
— でこ (@decoranger_neo) 2019年12月11日
これまでに立ててきた、韓国ポップスのミックスは縦(リズム)がマイルド ・横(音の広がり)が充実している・・・という仮説は間違っていなさそうでした!!!
一方で日本語版の感想はこちら。やっぱりボーカル重視感は否めません。
一番でかいのがやっぱり声、次いでギター(これは多分セブチボーカリストが高音寄りだから両立できてる)、その次がなぞるラインのベースと電子スネア 安いイヤホンで聴いても聴き取れる最小限の要素を前面に出してる 空間系は正直蔑ろ https://t.co/uKNLhUl3JD
— でこ (@decoranger_neo) 2019年12月11日
まずイントロからちげえ ギターは定位上の方に振って音量絞っても聞こえるように配慮しつつ、やっぱり空間系のロングノートがボーカルより前面 Bメロのウィンドチャイムもでかめ あとユニゾンハピエンもより馴染んで多くの人の声が聴こえてる やっぱこっちの方が好きだな… https://t.co/sPJ7n9d6wv
— でこ (@decoranger_neo) 2019年12月11日
これだからケーポは良い環境で聴くに限る…
— でこ (@decoranger_neo) 2019年12月11日
音づくりにこだわるアーティストが「いくら緻密に作り込んだ音源でも最終的にやっすいシャカシャカのイヤホンで聴かれると伝えたいことの1割も届かない・・・」と嘆いている、というのはよく聞く話。
日本における「大衆に消費される音楽」を遡ると、テレビから毎日昭和歌謡が流れていた時代に始まり、CD全盛期だった20年前*3、いずれもある程度わかりやすい帯域にこれでもかと音をちりばめた音楽を空間に流すことが主流でした。
ところが、今はリスナーひとりひとりが手持ちの端末+イヤホンで好きな曲を聞く時代。Podcastやラジオ音楽が古くから親しまれているアメリカでの音楽がミニマルを目指したミックスに変化していくのはある種必然の流れであり、それがK-POP含めワールドスタンダードとなりつつあります。その流れに乗り切れていない日本のポップス業界・・・いくら良質な音楽を作っても、ミックスの仕上げが20世紀で止まったままでは果たして海の向こうの耳の肥えた皆様に届くのでしょうか、、、
超絶余談、嵐がサブスクで全曲解禁しましたね。20代女子のご多分に漏れず青春時代を嵐の音楽とともに過ごした私は諸手を挙げてシングル曲を片っ端から聞いていたのですが、あまりにも前面に出てくるボーカル+ストリングス&どう考えてもサビから作ったかのようなハイパー転調祭に、1時間もしないうちに音に酔ってしまいました・・・解像度の高い環境ではとってもとってもToo Muchに感じてしまい複雑な思いでした
Chain (NCT 127)
ジャケットださ!!!!!!!笑
イリチルが初めて出した日本オリジナル曲・Chain。
— でこ (@decoranger_neo) 2019年12月11日
あーーーーこれ面白いな、一人一人の声の輪郭にコーティングしてるみたいに聴こえるからトラックでかめだけどボーカル潰れてない、Aメロとかは声抑えてるかも サビ前のwant youとか上手く抜けてる…でもサビ至上主義で足し算で曲作ってるからやっぱうるさい…笑 https://t.co/s3V5T32Fsv
— でこ (@decoranger_neo) 2019年12月11日
やっぱり日本版はサビ命・ボーカル命なミックスが施されている印象です。この曲のサビは、前半にほぼボーカルが乗っておらず強烈なトラックを聴かせているのですが、そのあとボーカルが入ってくるときにバックの音量があまり落ちない結果、100%から150%みたいな音量変化をするのでめちゃめちゃ音がでかい。。。
一方こちらは韓国版。Regularのリパッケージアルバムにて逆輸入されています。
うああああああああああこれもぜんぜんちげえええええええええ https://t.co/C347P7czeZ
— でこ (@decoranger_neo) 2019年12月11日
引き算が上手いな!!!!!!!!!!!!!!!!!「REACTION」の響きが全然ちげえ!!!!!!!!!!あとなんか合唱曲みたいな声の聞かせ方だな、Jポってデフォでユニゾン多いけどKだと少ない分重唱きっちり聞かせるのかも…というかまず歌い方違くない?解放感は少なめ https://t.co/C347P7czeZ
— でこ (@decoranger_neo) 2019年12月11日
ここまで印象が違うと思ってなかったので比較してみて驚き!!!特にREACTIONの聞こえ方、全く違いました。より重唱感を重視していて、リバーブが効果的に使われていますね!!
あとはBメロでボーカルメンバーが順に歌いつないでいくパート、日本語版は一音一音を長めに歌っているので文章がフレーズとして聞こえてくる(=「横」重視)のに対して、韓国語版は一音一音の間にしっかり空白を開ける歌い方をしているため、より曲のビート感を強調しています(=「縦」重視)。
これまでの項で触れてきたように、韓国語はその子音の強さから一句一句が区切れて聞こえるため、裏の音で空間を埋める加工が施されることが多いです。しかし、ChainのBメロ部分のオケを聞いていただくとわかる通り、すごくリズムが細切れですよね。もともとの日本版にも拍頭のストリングスの刻みは入っているんですが、韓国語の方が音量が上がっている。いや今までと言ってること逆じゃん!!…と戸惑いましたが、思うに、これはあえて日本語版よりも細切れのリズムを強調するためにオケ&歌い方を鋭く調整し、曲全体にいっそうの緩急やスマートさを持たせたかったのだと推測します。
より多くの人の耳に歌詞が留まることを重視した、日本デビューの代名詞的な楽曲である日本語版と、10人という新境地を迎えたイリチルの多様性を見せ、グローバル活動を象徴するRegularリパケ収録曲である韓国語版、という楽曲自体の立ち位置の違いがミックスにも現れているのではないでしょうか?
なんと終わりませんでした ―今度こそ後編へつづく―
ここから先は中国語ミックスや、3言語以上のバラエティに富んだ楽曲を紹介しようと思っていたのですが・・・・・・・・分量が大変なことになってきたので、まさかの3部構成とさせてください…!!超大作になってしまった。どうしよう。
ちなみにもし今回の記事を読んで、言語学や音声学の方面にちょっと興味が出た方は下記の記事あたりを読んでいただくと面白いと思います。Wikipedia先生の「子音」の項目は詳しいんだけどあまりにも専門的すぎて目がチカチカしたよ
更新がスローペースになっており申し訳ありません!必ず完成させたいと思っているので、もうしばらくお付き合いいただけますと嬉しいです。。。
つづく。。。。
追記:つづいた!!